●2017年11月20 
今回はスピーカーのメンテナンス&チューン第11項20台目の最後です。
1項に20台記載してるので、単純計算で220台紹介したことになります。
その他自作スピーカーが60台で、合計280台のメンテナンスやチューンを
施したスピーカーを紹介してきたことになります。スピーカーがかぶってい
たり、ページに載せないスピーカーも沢山あるので、実質手がけてきた台
数は倍の600台以上は軽く越えてると思います。年間50台、月に4台くらい
のペースでしょうか。完成はまちまちですが、今はだいたい月に7、8台のペ
ースです。これはもう本業ですよね(^^; でも一応別の仕事もしています。
ということで、今回11項のラストを飾るのは、日本のオーディオ黄金期1980
年代に発売されたJBL 4312A のカスタムです。ばらばらに組み合わされ
たユニットで旨くまとまるのか?ではどうぞご覧ください。
 U
●右が今回手がける4312A。
スコーカーだけアルニコLE5-2に変更されてます。
こちらの4312Aは以前メンテナンスしており、たいへんお世話になってる常連様より2度目のご依頼品です。今回も隅々まで、ぬかりなくおこないたいと思います。
●前回ターミナルの交換をおこないましたが、4312の純正カバーでは使いづらいとのことで、4311タイプに変更します。
●まずは部品を外しカットするサイズを測ります。
次に四つ角に穴を開けます。この穴はそのまま角のRの役目を担うため、純正に近いサイズ15Φで開けました。18Φでもいいでしょう。
●次は線に沿ってジグソーでカットします。左が完成ですが何か小さい?と感じサイズを測りなおしてみると間違っていました(^^;
上の丸く開けた時点で間違ってますよね。純正のネジ穴に勘違いしてしまったようです。再カットしたのですが、角に15Φを開けるスペースがなかったので、トリマーでの手作業となりました。
●手作業なのでRがやや丸っこくなってしまいましたが、無事できました。Rは少しづつ手の感覚で整えていくのですが、トリマーやルーターをガイド無しで使う場合、ちょっとのつもりがどんどん大きくなり墓穴を掘ることもしばしあります。なので少し手前で止めときました。という感じです。
●裏板を接着し一晩寝かせます。
●ネジ留めで補強したのち、ターミナルを入れる穴をあけ塗装して完成。ほぼ純正と同じになりました。たぶん4312Aでこの加工は他には無いと思われます。詳しい人が背面だけ見たら、えっ?4312Aなの?と驚くかもしれません(笑
●フロントも綺麗に再塗装します。ユニットの取り付け際部分など、念入りに下処理します。
●塗装が終わったあと、3、4日くらいじっくり乾燥させます。
●次はユニットの選定〜装着です。
左は4312A純正ツィーターの035Tiで、
右はアルニコツィーターのLE20-1です。
今回は右のカバー付きLE20-1に入れ替えます。
●このLE20は新しいせいもあり、抜群に程度が良いです。直流抵抗は左右共4.1Ω。
LE25は4〜5Ωくらいの間。4.1Ωと低めに感じますが能率が高めなので、例えばカーオーディオ用の4Ωツィーターとかに比べると、ぜんぜん音量が大きく使いやすいです。
●内部、コーンも問題ありません。カバー付きのLE20は、なぜかコーンが黒い物が多い。網越しになるため、わざと塗装してるのかな?とも感じるめんもあります。オーバーホールして内部もしっかり処理します。
●こちらはオーナー様が交換されたアルニコスコーカー、LE5-2です。4311の場合このスコーカーの音がボーカル・声の帯域にあたるため、ユニットの質により声質が変わるほど重要なポジションでもあります。だからスコーカーだけアルニコに変更するパターンは、たまに見られます。こちら左右で色差が目立ったので、軽く塗装して整えることにします。
●右が完成。どうでしょうか。日光のあたるあたらないや、湿度の関係により色が変色、劣化していくわけですが、黒は劣化すると→青に変化し、青が劣化すると→黄色、もしくは緑と、状況によって変化具合も変わります。パイオニア風でちょっと緑っぽいですが、かなりお洒落に仕上がったと思います。もちろんオーバーホールもばっちりやり直しました。
●続いてはネットワークです。
左は4312Aの純正ですが、前回アッテネーターだけ交換しました。4312Aからは基盤付けなのと、ツィーターがハードドームに変わりコイルが入れられた構成です。LE20に変更するならコイルは必要ありません。基盤からアッテネーターを外すのは正直めんどうなので、一から作り直すことにしました。まずはベースとなるMDF(6mm厚)をカットし穴を開けます。
●こちらはジャンセンのコンデンサーに銅テープを貼ったものです(写真は2セット分)。1個5千円とか1万とかする高級コンデンサーって何が違うの?と疑問に思う方も多いと思いますが、一番は外装の素材で、アルミや銅が内部に巻かれています。あとは線が太くなったり銀に変わったりでしょうか。そのあたりをメーカーを真似てやってるわけです。
●ケーブルもハイエンドメーカーを研究した結果に基づき作ってます。こちらは物量投資した自作ケーブル。線材はOFC銅の撚り線です。4311では1セットで約5m使うので、これは倍の10メートル。太くて柔らかく、そしてツイストによりノイズに強いのが特徴。JBLの硬い音をマイルドに、最高域までストレスなく伸びていく、そんな優れものだと自負しております。
●部品を組み込みネットワークの完成です。ポイントは配線を全て直結にすることと、アッテネーターから出てる3端子を、振動や重みで動かぬよう、しっかり固定することです。予算が無限なら全てを銀単線でハイエンド風に仕上げるのも有りですが、たぶん私のケーブルの方が431とは相性がよく、抜けの良いストレートな音色を奏でてくれます。
●完成したネットワークを箱に装着します。今回は左右で長さを揃えたので、部分的に余裕が出ています。ウーハーは単線。アルニコスコーカーとアルニコツィーターの特性に合わせて製作したので、4312A・純正ネットワークに比べ、ウーハーとの繋がりも良くなるはずです。そして全体のまとまりも格段に向上するはずです。
●そして今回LE20をセットするにあたり、以前製作した至高の4311と同じ手法、ステルスタイプにしました。見た目でも一体感が出て、もともと純正?だったかのような雰囲気を醸し出してます。いい感じです。
●ネジも同様に塗装しました。こういう細かい気配りが全体の底上げになり、完成度の高い作品へとなっていきます。
●吸音材を再セット後ユニットを装着し
●祝!完成!

かっこいい〜
新品みたいです。
●エージング前の調整も兼ねてさっそくの音出し
まずは一言
 「 フルレンジみたいだな! 」

低中高と全体のまとまりが良くなり、まるでフルレンジを鳴らしているかのよ
うな錯覚に陥るほどです。元々スコーカーのLE5-2に合っていない純正ネッ
トワークでしたので、クロス値を合わせたフルチューンネットワークに変えたこ
とにより、まとまりのある、別格の音色を奏でるようになりました。

わかりやすくざっくりですが、純正4312Aの特性は
高域凹
中域凹
低域凸 で、

今回ツィーターとスコーカーをアルニコに変更したことで
高域凸
中域凸
低域凸
という具合になり、全体のまとまりが良くなったというわけです。ユニットの特
性に合わせて製作したネットワークが効いてるのが、よくわかる結果となりま
した。ウーハーがフェライトの2213Hという事もあり、ウーハーから出る中域が
いい塩梅の凸なので、女性ボーカルも艶っぽく色気があり最高です。
耳の肥えたオーナー様ですが、きっと喜んでいただけると思います。

最後に。
一般的に6dBネットワークでは、ツィーターが-でウーハーが+の逆相接続。
12dBネットワークでは、ツィーターとウーハーが共に+の正相接続となるわけ
ですが、JBLはツィーターがマイナス、ウーハーもマイナスの6dB正相接続で
なぜ?と疑問に思う方もいるでしょう。実はJBLのユニットはなぜか?逆相で
作られており、それが原因でウーハーをマイナスにしてるんです(実質は+接続
になっている)。各ユニットにより違いもあるので、もうめちゃくちゃややこしい!
考えれば考えるほど疲れるので、深く考えないほうがいいようです(笑

さて、アルニコは解像度重視、フェライトは音楽性重視という顔がありますが、
今回はその2つの特徴をうまく捉えてまとまった「
好結果のお手本 」と言える
ほどのスピーカーになりました。私は最初オーナー様に、ウーハーもアルニコ
にする事をススメたのですが、オーナー様は2213Hの音が好きだという事で、
ウーハーの換装はしませんでした。それが逆に好結果を生み出したというわ
けです。これほど心地良いボーカルを奏でてくれるとは完全に予想外で、恥ず
かしながら、私はまだまだ勉強不足のようです。さすがオーナー様(マニア様)
恐るべしと言ったところで感服しました。そんなオーナー様の意向と私の技術
がうまく合致した作品4312A。ということで、良いとこ取りしてうまく融合した

 
Super Good Fusion Speaker 4312A の完成です!

またひとつ素晴らしい作品ができあがりました。

次回。最近日本製のご依頼がまとまっているのと、製作途中で放置された
    自作もあるので、そのあたりの”融合 ”でしょうか(^^; お楽しみに♪

JBL 4312A 1986年頃〜 1台¥128,000円  
メーカー解説:4312の後継機として、デジタル時代を照準したスピーカーシステム。
低域には30cmウーファー2213Hを搭載。低歪率を誇るSFG磁気回路を採用、コーン紙にはダンピングの効いた低音を獲得するためJBL独自のコーティング強化剤を塗布しています。フレームにはアルミダイキャスト製。
中域には13cmユニット104H-3を搭載。このユニットは、改良を加えボイスコイルを新しくし、コーン紙にもコーティングを施してスムーズなレスポンスと広い指向性を得ています。
高域にはドーム型トゥイーターである035Tiを搭載。軽くて剛性が高く、耐久性にも優れたピュアチタン材を25ミクロン厚のドームに成型し、日本の折紙細工にヒントを得たダイヤモンドエッジパターンと補強リブを組合せ、優れたレスポンスを得ています。
エンクロージャーはバスレフ構造。ウォルナット仕上げの4312Aとブラック仕上げの4312ABKの2種類がありました。中略
方式 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型(035Ti)→LE20-1アルニコに変更
中域用:13cmコーン型 (104H)→LE5-2アルニコに変更
低域用:30cmコーン型 (2213H)
再生周波数帯域 45Hz〜20000Hz
インピーダンス
出力音圧 93dB/W/m
クロスオーバー周波数 1.1kHz、4.2kHz
外形寸法 幅362×高さ597×奥行298mm 約L
重量 20kg(1台)


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