●今回ご紹介するスピーカーは、パイオニアのS-55TSD。
初代が55T、二代目の55TSD、そして三台目が55TX というシリーズになる。
55TSDは1988年という、オーディオ全盛期時代の作品。
 音質は別として、コストをガンガンにかけて作られたスピーカーは
現在の物より良い物が多い。
今のパイオニアは違う空気感に包まれた感じだが、
全盛期に作られたスピーカーの実力はいかに!?
Pioneer S-55TwinSD 1988年 \75,000円(ペア)
メーカー解説:
方式 2ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・防磁設計
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:14cmコーン型x2
再生周波数帯域 45Hz〜40000Hz
インピーダンス
出力音圧 91dB/W/m
クロスオーバー周波数 3.5KHz
外形寸法 幅236×高さ524×奥行300mm 約21L
重量 11kg
●エッジは布で動作は問題なし。さっそくの音出し
まずは一言
想像よりいい音だな

特徴的なWウーファーは、こもったような音質をイメージしてたのだが、
それとは違い、クリアーで自然な中高域には、少々驚いた。
耳につくような音や、癖がほとんど無いので、とても好感色。
Wウーファーで、これほど絶妙なバランスを出せるとは、
かなりヒヤリングしてセッティングしたのか?設計者に拍手拍手。

最初に箱から取り出した時
 「 うわっ、けっこうでかいな 」という印象だったが、
とびきり重低音が出るタイプではない。
ただ”ドロン ”とした重い音が出るフィーリングや、
ブーミーすぎないタイト具合など、小口径のメリットが存分に活かされている。

部屋での置き方はいつも通り、残念ながらこの状態では、
バーチカルツインのメリットや恩恵は確認できなかった。
このスピーカーを熟知するには、わりと長い付き合いが必要そうです。

さてさて、いきなりレベルの高い音がでてきたS-55TSDだが、
あえて言うなら、やはり高域の伸び・キラキラ感や、臨場感・ワイド感が足りないこと。
ハイレベルな中域は、このユニット(TW)ありきか?と思うが、
手前でクリアーなスピーカーを聴いてると、よけいこもって聴こえそうな
そんな具合でもある。
音楽では十分満足できるが、TVや映画では、少し聴きとりにくい。
そのあたりが改善できれば、「 バーチカルツインは凄いなー 」なんて言われそうな
存在になるやもしれません。
 今はもう少し聴きこんでから、チューニングを煮詰めていこうと思ってます。
そんなところで、内部検証にうつりましょう。
●フロントバッフルには1mmほどのフェルトが
貼られている。
フェルトなので汚れが付きやすく、
クリーニングするのも大変そう。

後ろのダイヤトーンは、
ダイヤトーンの特徴全開な中域凸凸傾向。
それを聴いた直後だったので、
より自然に感じたというのも、多少ありそうです。
●こんな感じでスーパーツィーターでも載せると
バランスがかなり良くなる。
(載せたくなる)

バーチカルツインのメリットは
まだわからずじまいだが、
もしかするとメリットが
無くなってしまうかもしれません。
●さてさて、ユニットは正面から外せません。
ご覧のよう、背面が外れる仕様なので
●外してみました。
ネジは全て木ネジ。
背面板は12mmだが、なぜか妙に薄く感じた。

わりとしっかり吸音材が入っており、
箱が鳴かないよう処理されている。
●ネットワーク。
綺麗に配置されたコンデンサーとコイルが3つ。

パッと見コンデンサー足りない?なんて思ったが、
左(2個)がウーファー用で右(2個)がツィーター用。
容量は左右同じで、
並列と直列で使い分けている。
一見工夫した使い方に見えるが、こだわりなのか、
コストダウンなのかは、わからない。

わりと中域を出すセッティングだが、
それでもまだ足りません。
●写真を撮り忘れました。
また分解するのもあれなんで、こんな具合に。

左のウーファーは紙コーン・コーティング。
センターキャップにはダンプ剤が塗られておりベタベタする。
ゴミやほこりが付きやすいのだが、掃除する場合
アルコール、エタノール、除光液などを使うといいでしょう。

右のツィーターも同じ、ドームにダンプ剤が塗られており
ベタベタする。

この時代ではあたり前のように多いアルミフレームは
しっかりと作られたもので、質感もばっちり。
 フレームを薄いスモーク色で仕上げた点など、
こだわりが大いに感じられます。
●ユニットは全てボルト(六角)止めで固定されている。
背面板はネジが多いので大変だが、
ユニットは簡単に外せます。
ただし外すさい、センターキャップをペコッとやらないよう
注意も必要。
●背面のターミナル・バイワイヤ仕様。
音質へのこだわりが感じられる。
●今回は久々の”切り替え式!!
カバーに表記があるので、一瞬躊躇したが
ど真ん中にスイッチ付けました。
そして
●完成!! いかがでしょう。
ネットにペイントされた名前がゴールドで、とてもかっこいい!!
自作でもやりたくなるほどだったので、最初にもってきました。
背面板を外す構造はいつもと手順が違い、写真の撮り忘れがいがいに多かった。

何気なくBGMを流してるような、そんなお気軽な使い方をするには、このままでもいいのだが、
目の前のボーカルを楽しみたいときや、フルオーケストラをまったり聴きたい時など、
やはり高域の足りなさが、そのまま物足りなさにつながってしまう。
バランスは悪くないので、ポンとツィーターを追加しても良し、アンプで調整してもいい。
だがここでは、
できる限り、このバーチカルツインを活かしたまま、よりクリアーな音像を目指してみた。
なので能率は変更せず、クロスオーバーを変更しました。
 そこで元の音も確認できるよう、久々に”切り替えスイッチ ”を付けたわけです。
それほどガツンと変るわけでは無いが、ボーカルにいたってはとても効果的。
ただし元のまま(ノーマル)のほうがいい、なんてソースもあると思うので、
色々と使い分けするのも楽しめるでしょう。

ノーマルはほんの少しこもりある傾向なので、ボーカル向けのタイプだが、
スイッチONでクリアーになるので、室内楽からフルオーケストラまで、存分に楽しめるでしょう。

最後に。
初めて買ったバラコン・大型スピーカーはダイヤトーンだったが、
それより前、初めてのオーディオ(コンポ)はパイオニア(プライベート)でした。
だから他のメーカーより思い入れがあります。
ほんとうは55TXと同時進行でやりたかったが、みつからないので先に始めました。

ウーファーが複数搭載されたスピーカーはわりと多いが(トールボーイも含め)、
バーチカルツインは以外に少ないですよね。
そもそもバーチカルツインとは、パイオニアが名付け親なんですかね。

 今回の55TSDはオーディオ全盛期の作品であり、細部までとても凝った作りでした。
聴き慣れない名前しかり、ツィーターがサンドされた構造しかり、
一度は聴いてみたくなる、
そんな魅力たっぷりのスピーカーでした。

次回、この流れで初登場(以前のやつは未遂)となる、トールボーイの登場です。お楽しみに♪


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