●今回は久々のDENON。いつ以来だろうか?
そして異色のスピーカー、SC-410 の登場です。
何が異色かって、それはそのまんま見た目。
BOSEに似たような柄があるが、そのほかではまず見かけない、
まるで高級車の内装のような柄、くすもく(でいいんでしょうか?)。
スピーカーの大半がウォールナットのような木目(塩ビ)の中、この柄はあるいみ貴重かもしれません。
知らない人が見れば、イタリアン調の高級家具に見えるだけの雰囲気はある。
そんな怪しさ満点の410だが、果たして音色はいかに!?
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DENON SC-410 \60,000(2台1組、1992年頃) |
●メーカー解説:メロディをただ再生するだけでなく、深い味わいを伝えるスピーカーを目指して開発された、
ヨーロピアンテイストのスピーカーシステム。
低域にはネオジウムマグネットを採用した16cmウーファー、高域には広指向角の2.5cmソフトドーム。
エンクロージャーには、ヨーロピアンテイストを意識し楠杢柄を採用しています。 |
方式 |
2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁設計 |
使用ユニット |
高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:16cmコーン型 |
再生周波数帯域 |
35Hz〜45000Hz |
インピーダンス |
6Ω |
出力音圧 |
91dB/W/m |
クロスオーバー周波数 |
3KHz |
外形寸法 |
幅230×高さ400×奥行250mm 約15L |
重量 |
7.8kg |
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●まずはエッジがxなので、貼り替え後、エージングなしでのインプレッション
まずは一言
「 うるさい・・・高域強すぎ 」
パッと鳴らした瞬間からわかる、その高域の強さ。
この音に慣れてしまうと、他のスピーカーが、すべてこもって聴こえるほど強い。
そしてツィーターからの中域・声質は、なにかかさつきを感じる。
そしてたぶんウーファーだと思うのだが、
ウーファーの上の部分、中域にピーキーな癖がある。
メーカーはヨーロピアンテイストとうたっているが、
どこをどう履き違えてこの音になったかは、多くの疑問がのこる。
高域の強いスピーカーは数多くあるが、
これのダメな点、うるさいと感じる点は、「 何か嫌みな癖があるから 」
だから聴いた瞬間から、思わず「 うるせー 」と思ってしまう。
時代のせいかなのか、コストのせいなのかは分からないが、
こんな駄作もあったのかと、あらためて驚いた。
当時は”ヨーロピアン ”と書けば売れると思っていたのか?
本当のヨーロピアンはぜんぜん違い、クリアー質の中にも”奥深さ ”がある。
この410、酒でも飲みながら仕事したとしか、思えないスピーカーでした(笑
今回は暑さのせいか、ちょっとダメ出しし過ぎでしたね。
このSC-410の良い所、それはこの見た目、”外装 ”でしょう。
この楠柄、BOSEに似てる物があるが、それ以外に見たことない。
それだけ個性的な存在であり、希少価値もあるはずです。
そんな楠柄は、BOSEのものより茶色が強く、
部屋でのマッチングは上々な雰囲気がある。
それと、ツィーターがわりといい感じなので、
全帯域を見直せば、わりと優秀な音が出そうな気もするが。
どこまでチューニングするかはセッティングしだいになりそうだが、とりあえず内部検証してみましょう。 |
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●こちらも久々の登場になる、
ONKYO M55(左)
サイズがほぼ同じ。
いつ聴いても、いい音は変りませんね。 |
●ユニットを外します。
ネジは全て六角。
エッジはボンドで固められた状態でした。 |
●内部。
ほとんどがらんどうと言えるほど。
小さな補強材はあちこちに見られ、
わりと効いてるようで、箱鳴りはあまりしない。
上部、ツィーター後ろに付いている
ターミナルカバーに、
ツィーター用ネットワークが |
●ウーファー用はこれ。
底の部分にコイルが一個。
癖の原因はコレかもしれません。 |
●ツィーター。
DENONは外国製ユニットを多く採用しており、
それらは優秀なものが多い。
そんな製品と比べると
見劣りしてしまいそうだが、
こちらの日本製もわりといい作りです。 |
●ウーファー。
メーカー文にはネオジウムとあったが、
果たしてそうなのかは解りません。
見た目は普通のフェライトっぽいですけどね。 |
●さて、まずは能率調整をおこなうべく
ターミナルを外します。 |
●ネットワークが出てきました。
コンデンサーの使い方を見ると、
十分こだわりは感じられます。 |
●とりあえず能率変更と共に
コンデンサーの容量を変更。
このコイルだと組み合わせが悪い気がする。
メーカーはクロス3kHzと書いてるが、
聴いた感じだと1.5〜2kHzくらいですかね。 |
●ツィーター、オーバーホール後。
中央のドームだが、柔らかさや柔軟性は
水のゴムホースのような感じで、わりと柔らかい。
一般的なソフトドームは布+ダンプ剤が多いが、
こちらの方がしなやかさがある。
それは音質にも表れており、わりと良く伸びてくる。
けっこうリボンTWに似てる感じで、いいTWです。
そのぶん下側、中域がぜんぜんダメで、
厚めの音を出すとバランスが崩れてくる。
たぶんメーカー(設計者)もよく解っていたようで、
そのあたり、いい部分だけを引き出すよう
ネットワークでも調整されてた感がありました。
ちなみにDENONのユニット、国内外問わずネジが緩い気がする。 |
●さてさて、
元の状態はよくわからないが、
とりあえず鏡面タイプに。
下地をしっかり仕上げます。 |
●こちらは私が作ったネット用フレーム。
この410はネットがありませんでした。
最初は作る予定も無かったが、
ウーファードーム・凸凹の癖が完璧に直らなかったので
目隠しの意味も込め、作る事に。
せっかく作るので、洒落た感じにしてみました。 |
●オーバーホールしたユニットを取り付け、
完成・・・の前に |
●こちら同時進行でおこなったM55。
はぁ〜
大変です。
まずは分解・清掃、
マグネットがずれないよう、接着・補強する。
ドームの具合を調整後、組み立て。
最後に錆止め剤・塗装を施す。
これで完璧でしょう。 |
●こちらも410同様、下地から仕上げます。
ネットワークも完璧にチューンしました。 |
●ユニットを取り付け完成の前に、
もういっちょ |
●こちらONKYO D-500 のツィーター。
金属ドームなので、裏側にダンプ処理を施します。
ネジを外すさい、ネジがマグネットの力で
中央に吸われます。
そのときドームに接触し「 ベコッ 」となる場合があるので、
それを防止する為、マスキング(キャップ付き)してるんです。 |
●こちらもネットワークは「 極みチューン 」
ONKYOさんは、パーツ使いが複雑ですね。
最初見た時は、訳がわからないほどでした。
実はわりと単純だったんですけどね。 |
●ターミナルも交換 |
●ユニットを取り付け |
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●完成!! いかがでしょう。
過去に紹介したSPのリメイクもあったので、ちょっと抱き合わせになりましたm(_ _)m
SC-410だが、かなり高級感が出ました。いい雰囲気です。
ネットはダイヤモンド風(ひし形)にしようと思っていたのだが、取り付けピンの位置関係で
あんな形になりました。
写真だといまいちだが、実物はわりといい感じなんですよ。
そしてやはり肝心なのは「 音質 」
セッティングは何度もやり直し、けっこう大変な作業となりました。
特にウーファー・コイル。
ウーファーのコイル、6dB/octは、単品で聴くとすごくいいのだが、
ツィーターと合わせると問題が色々出る。
気にしなければそれだけの話だが、気になると止まらない。
あれやこれやとやってみて、結局元が一番良かったりもする。
高域を抑えたいなら、多めに高域を出す。
難しい話だと思うが、それだけセッティングは、大変なんです。
さて、スピーカーが完成した後、毎回写真撮影をします。
撮影の為別室に移動し、その間別のスピーカーがお目見えするという具合。
今回は比較になったのがONKYOのD-500。
D-500もチューニングをおこない、特に低域・エッジに関しては入念におこなう。
それにより、かなりいい感じの低音が出るようになり、色気あるボーカルにも拍車がかかったほどです。
そんなD-500、慣らし運転を兼ね聴き比べてみると、
あれれ?SC-410のほうがいいじゃない。
と思えるほど410が変化しており、チューニングが効果覿面だったという結果が
感じられた瞬間でもあります。
この410、何かあまり使われていないようで、ダンパーがわりと硬め。
ダンパーがこなれてくると音が豊かになり、さらに良くなるでしょうね。
前回の自作スピーカーもそうだが、ある程度スパンをあけて聴いてみると、
方向性が正しかったり、あるいは間違っていたりと、新たな発見があったりします。
同じスピーカーでも、前後のスピーカーによっては印象が違う時もあるので、難しいですね。
持ち味を活かしつつ、気持ちいい音が出るよう、チューニングに励んでます。
最後に。
DENON SC-410 、最初はぼろくそにダメ出ししたが、しっかり責任を取れる結果となりました。
この柄は見た目がいいんで、素人がほいほい手を出しそうですが、
(ノーマルは)手を出し手はいけない、そんなスピーカーかもしれません。
色んな意味で、難しいスピーカーでした。
次回、自作スピーカーの予定。 話題!?のstereo付録のやつ。
波に乗れるよう、はやめにやっとくことにします。お楽しみに♪
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