●今回はスピーカー王国と言われているデンマークのブランド DALI
その中から、Royal MenuetU(ロイヤルメヌエット2)のご紹介です。

ヨーロッパの中で、ドイツ・イタリア・フランスなどはパッと思い描けるが、
デンマークと聞いてもピンとこない。
私にとって、そんな馴染みのない国・デンマークだが、スピーカーに関してはかなりメジャーらしい。
その要因の一つが、北欧家具。
日本では実用性や値段ばかり先行してしまい、デザインは軽視されがちだが、
北欧では、デザインはもちろん実用性を一番に重視する。
日本は畳、文化が違うので一概に良し悪しは決められないが、
最近ではIKEA(家具店)などの進出が目立ち、デザイン家具もわりと身近な存在になってきました。

さて、ダリと聞くと画家のダリ(あのインパクトの強い顔)が浮かんでしまうのだが(笑
果たして本店・デンマークDALIの実力はいかに!?
DALI Royal Menuet II 2000年 \150,000円(ペア)
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:1.9cmドーム型 ・低域用:11cmコーン型
再生周波数帯域 70Hz〜55000Hz
インピーダンス
出力音圧 86dB/W/m
クロスオーバー周波数 4.2KHz
外形寸法 幅156×高さ258×奥行185mm 約3.5L
重量 4kg
●さっそく音出し、まずは一言
「 すごい塩梅!! 評価するのが難しそうな音 」

まずパッと聴いた時、柔らかくて耳当たりのいい音色が流れてきた。
それは癖がなく、限りなくナチュラルで自然な音。
何気なくTVをつけ、そこから流れる音声のような、あくまでもそんな自然な感じ。

軽くもなく重くも無い、リアルってわけでもないし艶々ってわけでもない。
とにかく評価するのが難しくらい微妙な音色。
良く言うと絶妙なバランス、悪く言うと中途半端。

高域は透明感がありつつ、とにかく柔らかくやさしい。
中域はやや凹み〜ニュートラル、カット帯域が少なめのようで情報量はわりと多めに感じる。
ただうるささは微塵もなく、スッキリして聴きやすい。
中低域、男性の低い声、そのあたりのこもり具合がちょうどいい。
大口径なら耳にツクような音も、小口径ならではと言えるスッキリ感がある。
低域はわりとしっかり出ており、バスレフなので
ソースによってはそれなりに伸びてくる。
カタログでは70Hz〜と書いてあるが、もう少し低い音も体感できる気がする。
箱鳴りはほとんど感じられず、キレのいいスッキリした音色。

総じて。
日本のスピーカーと比べた場合、どちらかと言うとモニター系。
ヨーロピアンモニターの色が出ており、やや凹み気味のクリアー質。
とにかく
マイルド・ナチュラル・ピュア・自然などという言葉があてはまるような音質。
嫌みな癖がぜんぜんなく、とても聴きやすい
低域もしっかり出てるので、物足りなさはまったくない。
平均の平均と言えばいいいのか、
掴みどころのない様は、さすが外国製という感じがする。

そんなところで、どんな部品が使われているのか
さっそく内部検証に入りましょう。
●ユニットを外します。
ネジは全て六角・木ネジ。
☆型(へクスローブ)でもOK
、合理的だ。
●ユニットは普通に外れました。
内部吸音材は硬めのポリエステルが
やや多めに入れられている。

特に気になったのがこの 箱。
側面や底・天板がかなり分厚い
21mm〜24mmくらいはありそう。
箱が小さいだけに、よけい目立つ。
だからわりとズッシリしており、
何か底力のようなものを見せつけられました。
●吸音材をずらすとネットワークが見えます。
●さてこちらはツィーター。
フレームは鉄で頑丈にできてる。
音は一般的なソフトドームと同じフィーリング、
ツンツンしてない柔らかさが特徴的。
●ウーファー。
これも鉄フレームで
かなり頑丈にできている。

それ以外、これといった特徴はないのだが、
音出ししてすぐにわかるほどの優等生。
とにかく上から下までナチュラル、ナチュラル、ナチュラル。
大排気量といいますか、
小さいのに余裕が感じられる音色。

見た目はヨーロピアンの特徴的な、普通のプラコーン。
だがなぜか、すごいオーラ・雰囲気が漂います。
これが本場の力なのか。
●端子は両方とも小(S)
プラス側が赤ではなく青。
何か意味があるのか?
●さてネットワークを取り出します。
まずは背面にあるターミナルカバーを外す。
ここのネジだけが☆型でした。

合うサイズがあったから良かったものの、
不便と言えば不便ですね。
ただ開ける人はほとんどいなかな。
●ネットワークが出てきました。
ターミナル直付けです。

コイルもコンデンサーも良いものが使われている、
だから逆に、ケーブルが貧弱に見えますね。
●さっそく交換しました。
それと付け方(ボンドなど)が少し雑、
部品がグラグラしてたので、
すべてやり直しました。

これは本社・デンマークでの製造らしいが、
わりと雑な気質もあるようです。
●ヨーロピアン高級はバイワイヤが
あたり前、標準なんですかね。
ショートバーはベルデンだったので
●厚金の単板に変更。
見た目も音質もクールになりました。
●ネットワークを取り付け
●ユニットを装着し
●完成!! いかがでしょう。
外装は純正の雰囲気のまま、ほぼ艶消し仕上げ。

今回は、本来ポテンシャルを最大限引き出す”極みチューン ”を、迷わずおこないました。
元々の器質がいいだけに、ちょっとした部品でガラリと変わる、
小気味いいレスポンスがさらに鋭くなり、
本来のポテンシャルをいかんなく発揮してきます。

こちらのメヌエット、わりと人気のある機種で所有者も多いようですが、
中域が艶っぽいとか艶っぽくないとか、色々と評価が分かれてました。
そんな点からも、評価するのが難しいスピーカーかもしれませんね。
私の感想だとズバリ
艶っぽく無い ”かな。
とにかく微妙なバランスなので言い回しが難しいのだが、
もしこれがこのまま一回り大きい、16cmウーファーとかだったら”艶っぽい ”になるでしょう。
それだけ小口径ユニットの特徴を、うまく引き出してるとも言えそうです。

それとスピーカーを評価する場合は注意点がある。
それは直前に聴いていたスピーカーの影響が大きく、それにより評価が変わってしまう。
例えば
JBL 4301を聴いた後だと艶っぽいし、ビクター SX-V1を聴いた後だと艶っぽくない。
などのよう、同じ人間・同じ環境だったとしても、普段聴いている音色でガラリと変ってしまう。
他のスピーカーにも言えることだが、評価がマチマチなのは、そういう原因もあるでしょう。
私の場合、ベンチマーク的なスピーカーを何台か所有しており、
それらと聴き比べながらレビューしています。


さて今回のメヌエット、やはりヨーロピアン・モニターの色が濃いので、
基本的にはどんなジャンルでもそつなくこなす。
ボーカル・室内楽のどちらが合うかは微妙なところだが、意外にTVは合いませんでした。
もしこれが”フロントポート ”だったら、ボーカル最高!! な音だったかもしれません。


最後に。
こんなに小さいのに、わりと高めの値段だが、
それなりに価値のあるものだと、触れてみてすぐに解った。
例えばサイズのわりに重量があったりとか、ぶ厚いクリアー層などなど、
クラフトマンシップが感じられるほど、きちんと作られている物でした。
内部に関しては・・・な面もあったが、
デザイン、ユニット、音質
全てにおいて”うまい ”と感じられた
見習うところが沢山あるスピーカーです。

ユニットに関しては、さすがメジャーな国だけあり、ユニットの本質をよく理解してる。
小口径には小口径でしかだせない長所があり、そんなのを自然に引き出す様は
ぐうのねもでません。
DENONのSC-E535・E232 というスピーカーがあるが、
数多くあるDENONの中でも、TOPクラスの実力を誇るでしょう。
それはユニット(デンマーク・ピアレス)の力があったからこそ、とも言える結果です。
とにかくデンマークのユニット、侮れませんね。

さて、DALLをチョイスするのは、プジョーやシトロエン、はたまたアルファロメオを
チョイスする感覚なのか!? はわからないが、
外国製品の味が色濃いので、いい気分に浸るにはもってこいです。
見た目は同じでも、DENONでは雰囲気や匂いが違います。
そんなところはたぶん、”ブランド力 ”の差なんでしょう。
とにかく、上質なスピーカーであることは間違いなく、所有する喜びのあるスピーカーでした。
次回、激レアかな!? さらに小さい、最小コンパクト。 お楽しみに♪


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