●2ページ目に入ります。
●箱の補修に入ります。
これ、写真
じゃわかりずらいが、なんだか真っ黒。
すすけたような感じに黒ずんでて、
炉端焼き!?
すごく汚らしい。

まずは傷を補修します。
その後全体をペーパーがけ。
削りむらができないよう、注意しながら作業します。
●最後に水研ぎ。
むらの確認をしながら、表面も平らにできます。
●で、3日間乾燥。
見違えるよう綺麗になりました!!

この突き板、部分的に貼り合わせたものだが、
それが一つ一つの個性になっている。
あえてそういう演出にしたのかは
定かじゃないが、
日本語で言うとこの” ”を感じました。

ただ木目が違うので色も違い、塗料の吸い込み具合も
違うので、けっこう色差がある、ものもある。
味と捉えればいいんですけどね。
●最後はオイル(オスモ)で仕上げます。
オイルは塗装と違い、一度塗ったら終わりじゃありません。
週に一度、もしくは月に一度塗っていくたびに
その深みが増してくる。
そういう材料なんです。
車と同じですね。

こちら週一で4回ほど塗り込んだので
深みも増し、だいぶ馴染んできました。
●これは剥がれ修理。
元々貼られている付き板は厚めなので、
それように調整しました。

一応同じウォールナットで補修したのだが、
色の差が意外にあり目立ってしまう。
●そこで、底面から移植することに。
左が最初に補修した付き板、
右(完成)が底からの移植。
こうして比べると、かなり違いますよね。
底からの移植は基本かもしれません。
●こちらは別の箱で、一番やばいやつ。
修理後の写真だが、底が凸凸と
かなり膨らんで変形してたものです。

まずはツキ板を全部剥がす。
その後凸部分をのこぎりでカットし平らに補修。
最後に剥がした付き板を再接着し完成となる。
付き板が綺麗に剥がれてくれないので
所々粉々になりました。
←痕跡ありますよね。
この箱は背面の凸も補修。
かなり大変な作業でしたが、
今後長く使う事を考えると、
補修した方が逆に丈夫になり、安心できそうです。
素材(パーチクルボード)はガチガチに接着しましたからね。
●これは背面のターミナル部分。
角はちょっと触れただけで崩れてくる。
なので軽く削って再塗装しました。
●ターミナルもかなり汚れていたので交換します。
この部分、たまに外れてるものがありますよね。
原因はプッシュ式ターミナルで、
バネが強く硬めなので、強く押す必要があり、
その反動で外れるようです。
●内部からみた裏側。
それにしてもこの板、”極薄 ”です。
箱はかなり頑丈に作られてるのに、
なんでここはこんなにチープ!?
不思議に思えるくらい変な作り。
●そこで板を貼りました。
●こんこんと叩いてみると
●他と同じ音になる。

ユニットを外した時、一番最初に気になったのがここ。
すぐに補強しようと思ったほどで
補強は”必須条件 ”ですね。
特に大音量で、音がぜんぜん変ってきます。

4301の場合、チューニングうんぬんの前に
まずここを補強する。
直接音に関る部分でもあるので、
絶対必要なチューニングでしょう。
●ターミナルはこれを使います。
厚金とい名前に引かれオクで買いました。
わりと精度も出てます。
珍しい形ですよね。

とくにこれじゃなきゃ、というこだわりはないが、
ほとんどは見た目でチョイスしてます。

それといがいに大事なのがサイズ。
4301のように取り付け部が凹んでる場合、
純正同様、なるべく飛び出さないように!!
なんて思いながら選んでます。
●さて、いよいよ佳境に入ります。
これはサランネット。
フレームが木(パーチクルボード)でできているのだが、
かなり重くて驚きました。
もちろん丸洗いはできません。
●なので一度剥がします。
ネットは洗濯機へ
●フレームは補修しました。
とにかく重いフレームです。
●これはエンブレム。
錆びつてますね。
●綺麗に磨き再塗装。
さらに錆びが出ないよう、クリアコーティングしました。
●さてさて、
お次も音質に関る重要な部品・ネットワーク。
表面にあるネジ(4ヶ所)を外すと、
写真のようボードが外せる。
つまみはアッテネーター。
●なんか想像してたより小綺麗。
ケーブルは銅線・錫メッキでやや硬めのもの。
被覆はテフロンではなく普通のビニールっぽい。
●アッテネーターは、今でも普通に売ってるものと同じ。
逆に時代が感じられません。
●ここはオリジナルを尊重しようかと
おおいに悩みましたが、
軽く引っ張っただけでこうなる物もあったので、
全て交換することにしました。
●で完成品がこれ。
●4301の場合、ツィーターの役割は大きいですから、
完璧な音じゃないと完璧な4301にはなりません。
だからいつもより入念にチェックしました。

エッジはウレタンも考えたが自作エッジにしました。
耐久性はもちろんだが、
音質も考慮してのチョイス。
ウレタンよりも低域の具合がいいんです。

あのボンドでぐちゃぐちゃのウアーファーも、
←見違えるほど綺麗になりました。
●干しといたグラスウール(吸音材)を入れたあと
ネットワークを取り付けます。
●そしてユニットを取り付け
●完成!!! (TT) いかがでしょう。
今回は長い道のりで、完成までに約2ヵ月かかりました。
外装はオイル(オスモ)で、2〜3部艶の仕上がり。
ネジ一本に至る細部まで仕上げた、「 渾身のオーバーホール 」です。

ようやく音が聴ける^^
さっそくインプレッション、まずは一言
「 なるほど、モニターって感じ、リアルだなァ 」

いつもはエッジの交換後に音出しし、その時の印象を書くのだが、
今回はフルメンテの後になり、完成状態での音出しとなる。
だから「 ちゃんとできてるか!? 」と、いつもよりハラハラしての音出しだが、
そんな不安も吹っ飛ばすくらい、濃厚な音が飛び出してきた。

基本的にアルニコは、クリアー質が特徴な音であり、この4301もかなりクリアー質。
へたしたらウーファーのみでいけんじゃない!?
と思えるほど、バランスもいい塩梅に整ってる。
クリアー質な中域は声質にも影響しており、傾向は凹〜ニュートラル。
そこに合わせられるツィーターは真逆の特性。
パッと聴いただけでわかるほど、分厚い音色が特徴的。
加えてほどよいさじ加減,、ポート周波数が約35Hzのフロントポート。

ウーファー凹
ツィーター凸
フロポート凸〜ニュートラル

それら全てが合体・まとまったのが、この4301である。

いい音だね

しかも・・・心地いい・・・

アルニコは磁力が強力なのが優位ではなく、
その方式の違いが、いい音を生み出してる要因だと思う。
そんなウーファーに合わせられたツィーターが、これまたいいスパイスとなっている。
キラキラとした伸びは少なめだが、逆に聴きやすい音質を生み出してる。
JBLの大型はよくホーンを使っているが、この音を聴くとうなずけますね。

アッテネーターでツィーターをコントロールできるので、
基本的に音質はやや凸〜凹みまで変化する。
今回はつまみ0(12時)での視聴だが、やはりモニター音が色濃く出ており、
ボーカルはクッキリ・ハッキリ細部まで明瞭、とにかくリアル
リアルで思いつくのが、ロジャース LS2 と ダイヤトーン DS-251 。
3台並べて聴き比べしたいものです。

クリアー質でリアリティ抜群、だから基本的には
どんなジャンルでもそつなくこなす。
あえて言うなら、室内楽〜オーケストラなど、楽器系との相性がいい。
ボーカルをしっとり聴きたいなら、SX-V1のようなスピーカーをおススメするが、
4301にはなぜか” 良き雰囲気 ”がある。
古き良き製品にかこまれ、いい空間、いい雰囲気を作ってくれる。
そんな雰囲気作りでは、ずば抜けた才能の持ち主かもしれません。


最後に。
メンテナンスして初めてわかったが、
古いJBL、良くも悪くも”
アメリカン ”そのものでした。
そしてこのスピーカーいじってると、妙にアメ車に乗りたくなってくる、
そんな気分に陥りました。
手のかかるやつほど、可愛いもんですよね。
触れば触るほど答えてくれる、そんな単純な構造でもあったこの4301、
古き良き時代の賜物であり、現代では出せない、”
”のあるスピーカーでした。
次回、久々のフルレンジ登場!! お楽しみに♪


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