●今回は前回のRSL・モニター2800と同じアメリカ製で、Electro-Voice(エレクトロボイス)、通称EV
スピーカーとしてはEVの方が有名で、多くの方がご存じだと思う。
ただ民生用というよりはプロ仕様・スタジオ向けが多い。
価格もそれなりにするので、おいそれとは手がでない。
EVとはそんなメーカーだが、今回ご紹介するOPALU。
読み方はオパールでいいのか?ネットでOPALと検索すると、車のOPEL(オペル)がちらほら出る(笑
実は私もさいしょ、オペルだと思っていた(^^;
そしてこのOPALはUなのでTがあるはず、でも後ろのラベルにはWと書いてある?
情報がぜんぜんないので詳細はわからずだが、目の前にあるこいつの実力は計る事ができる。
エレクトロボイスの実力はいかに!? |
Electro-Voice OPALU MARK W 1980年代? 150,000円 |
●メーカー解説: |
方式 |
2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式 |
使用ユニット |
高域用:3.8cmドーム型 ・低域用:20cmコーン型 |
再生周波数帯域 |
47Hz〜20000Hz |
インピーダンス |
8Ω |
出力音圧 |
92dB/W/m |
クロスオーバー周波数 |
2.5KHz |
外形寸法 |
幅290×高さ540×奥行230mm 約25L |
重量 |
11kg |
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●ウーファー・エッジが×なので、まずは貼り替え作業をおこなった。
すると片側に少しの歪みがあったので、ついでにこオーバーホールもやっちゃいました。
かなりシャキットよみがえったのだが、エージングは必須ですね。
とりあえずはエージング無しでいってみます。
まずは一言
「 すげー鳴りっぷり、低いうねりがぱねぇ(すげぇ) 」
パッと聴いてその実力が只者でないことはすぐにわかった。
アメリカンサウンドというよりは、ヨーロピアンクラシックといったところか。
前回のRSLよりもややクリアー質でメリハリがある。
音出しした瞬間からすぐにわかる低域のスピード感やキレの良さは、ユニットの様様といったところ。
特に低域・ベースのうねりなんかは解像度が高くて”うおっ! ”と思うほどたまらない。
中域はクリアー質でわりとナチュラル。
だが一つ気になったというか微妙なところがあり、初めて聴くフィーリングと言えばいいのか。
わりと大きめのポートが最上部に付いており、そこから低域とまろやかな中域が飛び出してくる。
その下にあるツィーターからは、やや刺激の強いメリハリ音がでる。
まろやかな中域と刺激的な高域が交わり、なんとも言えない微妙な出方・音色に感じました。
いい悪いではなく、このフィーリングは初めて聴く感覚なので、正直 表現方法に困ってます。
ちょっとうる覚えの記憶なのだが、パイオニアのバーチカルツイン、そんな傾向に近いのかもしれません。
そんなところで、さっそく内部検証に入りましょう。 |
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●パッと見ぼろい
音が出るのは救いかもしれません |
●ユニットを外します。
ネジは普通の木ネジなのだが
なぜかユニットが外れない???
箱に接着されてました。
スピーカーとしては良いですが、
分解するのは大変です。
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●これはユニットのネジ。
ご覧のよう長さがバラバラで数もバラバラ
すごい大雑把。
アメリカ人って・・・
別に木ネジ使うのは悪く無いんだけど、
一番長い奴、こういうの使うのは止めろよな、
ネジが空回りして外すの大変でした。 |
●吸音材(綿)を外すとネットワークが見えました。
部品はわりと良い物が使われてますね。
基本に忠実なセッティングでした。 |
●さて、一度ユニットをバラバラにしてまた組み直す。
箱に装着して出音を確認する。
問題なければ再度分解し、きちんと接着し組み直す。
そんな作業工程です。
箱の傷多すぎ、やばいでしょ。 |
●箱の補修に入ります。
まずは付いてる部品を全部外す。
接着だろうが何だろうが、全部外します。 |
●この箱、なんだかやけに重いなァ〜
なんて思っていたら、内側に何か貼ってある!!
最初は鉄板かな?と思ったが、磁石が付きません。
陶器か?
何か解らないが、叩くとコンコンと高い音で
かなり硬そうです。
こういうこだわり、すごいね。
補強もないシンプルな箱だと思っていたら、
こんな秘密がありました。
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●プレートは曲がらないよう、慎重に外します。 |
●プレートやユニットを外したところ、
色が違いますよね。
ウォールナットって、実はけっこうジミなんです。
元々暗い色目なので、着色してるのがほとんど。
だから経年により、こんな焼けが生じてくる。
JBLなんかも全部着色なんですよ。 |
●底の角。
重いから衝撃で潰れたようですね。
ここが一番ひどく、けっこういってました。
ネジ穴なんかもそうだが、
補修には爪楊枝が重宝します。 |
●いい感じに仕上がりました。
塗装すればほぼ完治しそうです。
わきの剥がれは
ツキ板(ウォールナット)貼りました。
こういう補修は久々、なんか楽しい。 |
●さてさて、全体的に傷が多い。
サンダーを入念にかけました。 |
●最後に塗装します。
今回はオイル(オスモ)仕上げ。
小さい傷は無くなったが、
大きい傷はまだまだ残ってる。
でも色目が同じなのであまり目立ちません。
こんなもんでいいでしょう。
乾いたらまた塗って磨いて完成。
オイルは乾くのに時間かかります。 |
●箱が仕上がったらチューニングを開始します。
まずは箱のダンプ。
吸音材を追加します。
あのプレートの表面が出ないよう
フェルトを貼っていく。 |
●黒いポートはプラスチック。
何だこれ?と思えるほどペラペラで酷い作り。
鳴きそうなのでガッチがちに補強した。
その他、ターミナル、ネットワークはもちろん
ネットを取り付ける黒い奴(ゴムではなくプラスチックだった)
などなど、とにかく全てにおいて
「 徹底的にダンプした」
元々鳴るような箱ではないが、
さらに10%増しくらいになってるでしょう。 |
●ネットは汚かったので、はがして洗いました。 |
●箱の乾燥中にユニットをやります。
これは出音をチェックしてるところ。
ヨークとボビンのクリアランスが少なくて
シビアな作業となりました。
このユニット、裸で音出しした瞬間から、
「 音いいなァ〜 」
と思えるほど、素晴らしいユニットでした。 |
●これは何だかわかります?
MDFを丸く削ったものだが、
これでセンターキャップの凹みを修正します。
サイズが3種類あるんですよ。
例えばビンの蓋とか、こういう形のやつなら
何でもいいのだが、
以外にありそうで無いんですよ。
だから作りました。 |
●ツィーター。
表面にはスポンジが貼ってあったようだが、
詳細はわかりません。
ドームは3.8cmと大きなもので、
見ためはソフトだが実はハードです。
マグネットに付いているネジ(3個)を外せば
簡単にばらせます。
奇跡的に錆びはありませんでした。
でも一応錆び止め剤を塗っておきます。
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●表面を綺麗にしました。
ボンドがガチガチに固まっていたので
はがし難かった。
このフレーム、金属に見えるが樹脂です。 |
●さて、スポンジの代用品を作ります。
スポンジでもよかったのだが、
見ためが良く耐久性もあるフェルトにしました。
厚さ3mmなんで加工も楽です。 |
●お次はネットワーク。
無駄に長いケーブルが目につきますね。 |
●交換しました。
ケーブルはいつも使ってる
オーディオテクニカのAT6158、2.5mm。
コンデンサーは容量も問題なかったので
オリジナルを使います。
コイルは線が太く、良さそうなものでした。 |
●ネットワークを取り付けます。
背面ターミナルも取り付け、しっかりダンプさせます。 |
●ユニットはオリジナルと同じよう接着を考えたのだが、
取れなくなっては困るので、両面テープを使いました。
ネジも交換(新品)しました。 |
●ツィーターのフェルトは装着するとこんな感じ。
スポンジよりも高級感あると思うのだが、いかがでしょう。
オリジナルは右のような感じ、
ドームまでスポンジで覆ってある。
でも刺さるような嫌みもないので、
隠さなくてもよさそうです。好みですね。
ユニットと取り付け |
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●完成!! 艶消し仕上げ。写真枚数が多いのでちょっと疲れますよね、お疲れ様です。
この手のスピーカーはメンテナンスがほんと大変。
わかっているけど音が聴きたい!! だからやめられないのかもしれません。
元々傷の多い箱だったが、再塗装したので傷も目立たず、だいぶマイルドになりました。
ユニットは全バラ・清掃・組み直しというオーバーホールをおこないました。
特にダンパー(ウーファー)のへたりもしっかり補強したので、新品のようなシャキッと感が出ています。
エージングは通常より多めに、少し大きめの音量でおこないました。
CDをかけっぱなしのまま6時間くらいたったか、
帰宅後あらためていつものCDをかけてみると
「 なんということでしょう!! 」音色がガラッと変わった!!
押し出しの強い迫力ある音の中にも、何かとても繊細な音色が感じられる。
そしてJAZZボーカルを聴いた時、
「 背中がゾクゾクするくらいのリアリティで迫ってきた!! 」
前回のRSLに負けず劣らずといったところだが、やはりボーカルは2wayが有利か?
耳を疑うような、軽い衝撃が走りました
やばいっす、これ。
こういう音を聴いてしまうと、もう日本製には戻りずらくなりますね。
外国製は、さすが凄い!!
日本びいきの私としては、あまり褒めたくないのだが、言わざるおえない実力です。
ソースはわりとオールジャンでいけそうだが、やはりボーカルものとの相性がいい。
何か複雑に重なり合った、そんな録音に凝った音楽でもかけたくなるほど、
解像度の高いスピーカーです。
最後に。
KEFの104もこれと同じくらいのサイズだが、
こんな感じのクラシカルタイプは、B&Wなど各社から出てますよね。
この形でこのサイズ、ワールドワイドな流行りだったのかもしれません。
ただひとつ言いたいのは、懐かしい!!との理由で、簡単に手を出す事はおススメしません。
なぜなら日本製に比べ、メンテナンスが必須だからです。
ノーメンテで鳴ったとしても、本来の実力は出てないでしょう。
とにかくボロボロで、錆だらけのものが多いですから。
もしすごく程度のいいやつがあれば買いだと思うが、中身は・・・なんて事もありえます。
丁寧にきちんと手間をかけてやれば、それに応えてくれるのが機械の素晴らしいとこでもある。
オラオラ系で押しが強い、だがどこか繊細、そんなマニアにはたまらない一品のOPALUでした。
次回は未定。 JBLも沢山あるのだが、大変そうで腰が上がりません(^^; |