●今回はJBL・コントロール1のご紹介です。
JBLと言えば、BOSEと並ぶアメリカの2大メーカーのひとつ。
フォードとシボレーと言ったところか。
「 おぃおぃ、BOSEと一緒にすんなよ 」
なんて声が、JBLオーナーから聞こえてきそうですが(^^;

さて、スピーカーの中ではかなりコンパクトサイズのコントロール1ですが、
その小ささの中にもノウハウをギュっと詰め込んだ、そんな好印象があります。
発売当初より人気があり、マイナーチェンジを重ねつつ現存するスピーカーの一つ。
今回はそんなコントロール1の初代、はたしてどんな音色が飛び出すのやら。
JBL Control 1  1986年 \43,800円(ペア)
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁設計
使用ユニット 高域用:1.5cmドーム型 ・低域用:13cmコーン型
再生周波数帯域 70Hz〜22000Hz
インピーダンス
出力音圧 88dB/W/m
クロスオーバー周波数 7KHz
外形寸法 幅150×高さ230×奥行140mm 約3L
重量 2kg
●↓ご覧のとおりエッジ(ウレタン)がボロボロなので、まずは貼り替え作業をおこなうのだが、
実はこの箱、分解するのに一苦労するほど頑丈に接着されている。
そこで今回は、いつものインプレッションに加え、箱の分解〜エッジの貼り替えまで
誰でもできる
世界一わかりやす!!コントーロール1の分解・エッジの貼り替え 」をご紹介します。

そんなところですが、とりあえず張り替え後のまずは一言
「 あれ?昔の印象と違う・・・ちょっとシャリが強いなァ 」

ちょうど隣にBOSE121があるので、比較レビューとなった訳だが、
コントロール1(以後C1)はもっと良い印象があった。
その時比較したのは、永遠のライバルかもしれない BOSE101 。
C1はすごくクリアーで聴きとりやすく、その分101は やけに凸って聞こえるほどだった。
かなり昔の記憶なので、やや正確性には欠けそうです。
そして今回のC1視聴、実はとても楽しみだったのだが・・・。
パッと聴いてすぐにクリアー質という事は感じたが、やけに凹んだ中域は薄っぺらく安っぽい音だった。
高域のシャリシャリも強く、うるさい感じは否めない。
低い音はわりと出ているのだが、やはりハイ上がり傾向が強すぎるので、全体のバランスは悪い。

このクリアー質を良く言うと、どんな音でも明瞭に聞こえる。TVも含めどんなジャンルでもこい。
そんな感じだが、普通に音楽を聴く分には心地よさがない。
逆にBOSE121の中域凸のほうが、っとても心地よく聞こえる。
C1のシャリシャリ音に慣れてしまうと、他のスピーカーが全部こもって聴こえるほど、耳がおかしくなるかもしれない。

だがしかし!!
このスピーカーは”2way ”、十分に改善の余地がある。
バランスの悪さはもちろん、ちょっといじればすごく良くなるような、そんな雰囲気がある。
JBL、歴史の重みは、まさに名門の血統と言えそうです。
そんなところで、さっそく内部検証にはいりましょう。
●左はBOSE121。
C1は121の7割程度だが、101を隣に置きたかったですね。
●さて、ここからメンテナンスの解説を始めます。
もうやっちゃった人も多そうですが、
紹介するのが遅いよ〜なんて言わず、見てください。

まずは赤○ネジ(六角)を外します。
このネジを外さないと、
どんなに怪力な人でも分解できません。
●箱を横にします(下側にユニット)。
赤ラインが本体とフロントバッフルの境目。
通常はここで分離するのだが、
ボンドでガッチリ接着されてるので、簡単には外れません。
●そこでまずは、ボンドの接着をはがします。
赤ラインのあたりにボンドが塗られている。
逆にここしか塗られていないので、
ここがはがれれば 簡単に分解できる。

ボンドの文字の下の縦線凹み。
たぶんメーカーは、ここに何かの道具を入れて
外すと思うのだが、今回はいじりません。
●その縦線の横、ボンドで接着されてるところに
細目のマイナスドラバーをつっこみます。
●ハンマーで軽く叩いて奥までつっこむ。
すると、少し浮いてきたのが解りますね。
ボンドがはがれかけてます。
●そしてこんな状態から
●コンコン叩いていく。
反対側もコンコン叩いていくと
●パカッと外れます!!

いかがでしょう。
コツさえ解れば、超簡単なんです。
そのコツがわかるか わからないかは、
大きな違いなんですけどね。

アメリカ人はパワーあるから、
こんなの手でおちゃのこさいさいなのかもしれませんが・・・

●さて、ここで終わりではありません。
フロントを外したら、次にケーブルを外します。

左右に少しずつ動かせば外しやすくなりますが、
手じゃ厳しいようでしたらラジペンを使うといいでしょう。
●次にユニットを外します。
赤○部分、四つのネジを外すのだが、
ボンドがびっしりかかっているので、
まずはその”ボンドをかるく剥がす ”。
それがポイント!!
綺麗に剥がすのは困難なので、
ネジ山が見える程度でO大丈夫。

これをやらないと、後々大変な事になる・・・。

ちなみに、ツイーターは接着のみ。
これを外すのも大変だが、
逆にマグネットはポロっと外れやすので注意が必要。
先にグル―なので補強しておけば完璧です。
●さて、ウーファーを留めてるネジ、
少しネジ山がでてきたところで、CRCを吹きかけます。
●ソケットレンチ(7mm)があればいいのだが、
無い場合はこんな風にして外します。
表はプラスネジ。
●で、これは外したネジ。
ネジ山にボンドが付いてるのがわかりますよね。
これのせいでなかなか外れません。

電動工具でうっかりやると
●ネジ山が潰れてしまいました(TT)

こうなるともうお手上げ。
●ぶった切るしかありません。
だがそんなスペースすらないので、
かなり至難の業です。

とにかくネジ山をなめないよう、慎重に作業しましょう。
ここは+じゃなくて、ぜひ六角にして欲しい。
六角だったらたぶん
ボンドとか剥がさないでもいける。
格段に作業効率が上がるでしょう。
●ようやくネジが外れたのだが、
ユニットが外れません。
そう、フレームのまわりにもビッシリ
ボンドが流されているからです。
それをコツコツ切っていく。
このボンドは硬いので、
カッターを使う場合には注意してください。
●最後はちょっと力ずくで・・・
ふんっ、外れました。
疲れた。
これほんと疲れます。
●ちなみに今回3セット分解したのだが、
その内の1セットはこれ、

なんとボンドが少ない事か!!


音質的には問題ありそうだが、
分解するならば月とすっぽん、天と地ほどの差がある。

もし全部がこんな状態なら何十セットでもやれそうだが、
全部ボンドなら、
一個もやりたくないのが本音です。
●ユニットにこびりついたカスを剥がしました。
ガスケットは再利用するので、カッターとかを使い
丁寧にはがします。

もしボロボロになってしまったら、
厚紙を重ねて作ったり、
硬めのスポンジなんかでも代用できます。

ようはユニットとバッフルに隙間ができないようにする為の
ものですから、そんなに気にする事はありません。
●新しいエッジを貼りました。
これは自作エッジだが、
凸部分のロールが少し大きめすね。
その前に作ったやつは小さめだったので
少し大きくしたらこんな具合になりました。
音質に問題はありません。
逆にロールが大きいと、
何か低音が出そうな気さえしてきます。
●次に箱を仕上げます。
まずはクリーニングしたのだが、この箱
表面がざらざらなので、タオルで拭くとこうなってしまう。
綺麗にするつもりが逆に汚くなる。
この白いつぶつぶ、ブラッシングしてもなかなか取れません。
根気強くテープでぺたぺたやり、ようやく綺麗になりました。
ちなみにBOSEはもっとツルツルで楽でした。
●綺麗にしたら表面をコーティングします。
今回は艶消しにしました。
これで白いつぶつぶも付き難くなる。

この後ユニットを取り付けるわけだが、
外した手順と逆に進めます。
ネジ留め後、グル―で硬めるとよりいいでしょう。
●チューニングしたネットワークを取り付け、
最後に
バッフルを取り付け
●完成!!いかがでしょう。

外装は艶消し仕上げ。BOSEもそうだが、この手の樹脂箱は綺麗にするのに、少しコツがいり大変です。
肝心の音質だが、もともとハイ上がり傾向、シャリシャリが強すぎる感じだったので、
まずはツィーターの能率を下げてバランスを取る。
次にクロスの小変更。
このウーファーはフルレンジでも使えそうなほど上が伸びている。
さらにネットワークを通した状態でも、かなり上が出ていた。
(カタログにクロス7kHzとあるので、そのまんまでしょう)

C1の現行型Xtremeはクロス3kHzとあるので、私もそんな傾向のセッティングに変えてやり
だいたい4kHzほどにしました。
このツィーターは元々下が出る・中域の厚いものではありません。
だからウーファーを上に伸ばして補っているのだが、そこの繋がりが悪くならないよう
少しずつクロスを下げていき、十分にヒヤリングしてセッティングしました。
最後に箱のポート周波数を少し上げてやる。
こんなところが今回のチューニングポイントだが、結果
高バランス ”の音を奏でるようになり、心地よさが格段にアップしました。
 ザクとは違うんだよ、ザクとは。 ザク=ノーマル、そんな感じです(笑

最大のポイントは、コントロール1の良い持ち味をなるべく崩さないようにすること。
小型なのにメリハリあるスッキリした音質は、”きちんと作られたネットワーク ”の恩恵が大きい。
ウーファーはスルー、ツィーターはコンデンサーのみ。
そんな音質が悪いわけではないが、そのような簡素なネットワークでは、
コントロール1のような音は絶対に出せません。
長年続くベストセラーは、こんなところに秘密があったようです。
とにかく、基本性能・ポテンシャルが高いスピーカーでした。

最後に。
お疲れ様です。今回のコントロール1のメンテナンス術、いかがでしたか。
写真がいつもより多いのだが、これでもかなり減らしたんですよ。

もっと早くやってくれよ〜なんて声も聞こえてきそうですが、一度やった事ある人でも
もう一回やりたくなるかもしれませんね。
とにかく”ツボ ”が大事で、わかっていれば簡単なんです。

バランスの悪さが残念のC1でしたが、基本的性能がいいので、
ちょっとバランスを変えてやるだけで、かなりレベルUPさせることができるはずです。
分解したついでに、チューニングにも挑戦してみるのもいいでしょう。
わかりずらいかもしれないが、ターボ車のブーストを上げてやるような、
特性を変えずに性能・ポテンシャルを引き出してやる。
そんなことができる・やりたくなるスピーカーです。
そして、

BOSE(101)とどっちがいい?

は永遠の課題かもしれませんね。
BOSEとJBLでは傾向が違うので、そのシーン・ジャンルにあった使い方をしてやれば、
どちらも力を発揮してくれるはずなので、好みでいいと思いますよ。
コントロール1の現行型 Xtremeがありますが、ぜひ聴いてみたいスピーカーの一つになりました。
さて次回、レアな外国製をポンポン出していく予定です。お楽しみに♪

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