●前回のタンノイ・マーキュリーm1に引き続き、今回はケンウッド・LS-1001の紹介です。
このスピーカーはK'sというコンポ付属スピーカーですが、発売当初 人気があったようで、
のちにLS-300Gという名前で単品スピーカーとして発売されました。
現在でもなかなか評判が良さそうですが、実際のところはどうなんでしょう。
ではさっそく レビューにはいります。
KENWOOD LS-1001(LS-300G) 1991年頃 \60,000円ペア(LS-300Gの価格)
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁設計(EIAJ)
使用ユニット 高域用:2.8cmドーム型 ・低域用:15cmコーン型
再生周波数帯域 45Hz〜30000Hz
インピーダンス
出力音圧 82dB/W/m
クロスオーバー周波数 1.5KHz
外形寸法 幅210×高さ350×奥行310mm 約13L
重量 8kg
●まずは一言
「 いい、いいよこれ。やるじゃんケンウッド 」

出だしからわかる この”こもった ”(笑 音は、日本特有の音色ですが、妙な落ちつき感がある。
良く言うと中・低域に厚みがあり、ズンドコ好きにはたまらない、いい塩梅。
中域の加減もケンウッドそのものの音でした。
ケンウッドの中では癖が少なくマイルドな音質なので、長時間でも安心して聴いてられるスピーカーでしょう。
特にいいのは やはり低域で、LSF-777を彷彿させるほどの切れっぷりを発揮してくれました。

低域の量感が多く高域は弱め、中域がやや出過ぎのバランスが”こもり音 ”の原因ですが、
前回のタンノイ・マーキュリーm1はバランス型・低域が少なめなので、よけいこの1001が
こもって聴こえたという 原因もあるでしょう。
もし両者を比較したのなら、一般的には7:3か8:2くらいでタンノイに分があるかもしれません。

この1001の長所である低域、低域の良いスピーカーは必ず高域もいい。
このツィーター、このままだと能率が低すぎる(低域とのバランス)セッティングだが、
たまにキラッとした音が出るので、一瞬 ドキッとさせられた場面もありました。
そんなマニア心が くすぐられるような魅力に、可能性がみいだせます。

 一番の難点はこもりだが、加えてケンウッド独特の癖も少しあるので、そのあたりは改善したいと思います。
このスピーカー なんと言いますか、やりごたえというか、
何かチューニングのしがいがありそうな、そんな予感がしています。
たぶんこれセッティングが決まれば、激変するんじゃないですかね。
そんなところですが、さっそく内部検証にいってみましょう。
●現物を見ると、
意外なほどの高級感に驚きました。
ターミナルが金メッキなところなど、細かいとこまで配慮
されており、グッとくるものがあります。

近くに置いてある何台かのスピーカーが全部小型なので、
最初このスピーカーは大きく感じましたが、
一般的に売られている商品の中では、普通サイズでしょう。
●ではさっそくユニットをはずします。
ネジはすべて六角。
●ん?
内部はわりとシンプル
素材パーチクルボード。
補強は少ないが、板が厚めなので
頑丈にできてます。
●この角度から見るフロントバッフル、
分厚くてかっこいい!ですね。
ん?
ユニットを外した時から何か???と
不思議な雰囲気のある このFバッフル・黒い部分。
最初は鉄かアルミだと思っていたのだが、
実はなんとMDFでした。
断面も綺麗に処理(つるつる)してあるのと、
塗装(黒)がアルミのやつと同じなので、
てっきりアルミだと思ってました。
だからパッと見、
あれ?アルミ?違う?なんて具合でした。
少し残念ですが、これも一つの技でしょう。
●ツィーター。
フレームがアルミでしっかりした作りです。
この時DENON E232とタンノイ・マーキュリーm1の
ユニットもあり、せっかくなので比較視聴すると
このツィーターが一番いい感じでした(裸聴きで)。
●こちらはウーファー。
最近の機種に見られない素晴らしい!!作り。

おしみなくコストをかけている日本のメーカーは、
ダイヤトーンとケンウッドだけ、というイメージがあります。
それだけ好印象なんですが、
それが=高音質とは限らないのが
残念なところでもありますね。

こんな粋な商品は
今後ますます見れなくなりそう。
●エッジはゴムで弾力も十分。
ロールが少し大きめなのと凹みコーンが特徴的。

ツィーターもそうだが、このウーファーも大当たり!
ヘタな外国製の単品ユニットよりぜんぜんいい。
ケンウッドらしくないと言ったら失礼だが、
とにかくいいユニットでした。
●分解して徹底的にクリーニング。
ストロークもスムーズになりました(ウーファー)。

車もなどのメカもそうだが
オーバーホールするしないでは、まったくの別物ですよね。
ポテンシャルを十分に発揮する為に
しっかりしたメンテナンスは必須なんです。
●さてこちらはネットワーク
これはクロス幅をセッティングしてる最中のもの。
ここが一番大変なんです。
一発でビシッと決まる事も、まれにあるんですけどね。
中々うまくいってくれないのだが、
楽しんでやることが良い結果へと繋がります。

ちなみに、以前私のHPへ訪れた1001オーナーの方がおりまして、
その方はツィーターをホーンタイプに交換・改造してました。
このネットワークは、70年代のダイヤトーンを思わせるような
セッティングなので、ホーンツィーターに交換するのは
大正解!!と言えるでしょう。
●さて 外装の仕上げに入ります。
これはビニールシートだが、木目がわりといい感じ。
良くできてるほうです。
傷をすべて直し磨きをかけ、全体をコーティング(塗装)してやると
”リアルウッド ”に負けないくらいの質感になります。

写真にあるマスキングは正直めんどうですが、
大事な工程のひとつなんです。
ここをきちんとやらないと、
後々やり直し なんてこともしばしありました。
●仕上げが終わり、箱の微調整に入ります。
補強を少し入れたりなど色々試した結果
こんな具合に。
これでもか!!というくらい吸音材を詰め込みました。

日本製は吸音材が少なめで、箱を響かせるタイプが多いのだが
ヨーロッパ製は逆に、吸音材たっぷりが多いです。
●最後にユニットを取り付け
●完成!!! いかがでしょう。
箱は一番リアルウッドに見えやすい、上質な3部艶で仕上げました。
今回のチューニングは、コンデンサー追加・交換によるクロスポイントを変更したので、
音質変化の度合いもおおきくなりました。
箱の響き具合やポートも重要で、その辺りもしっかり調整しました。

そして気になる音質ですが、私が扱ったケンウッド製品の中で、「 過去最高 」の音質でしょう。
たぶん今後扱う製品を入れても、ケンウッドの中では これがNo,1な気がします。
それだけ満足いく音に仕上がりましたが、元々良い面があったからこそとも言えます。
サイズが近いLSF-777を横に置き、直接対決させてみたいですね。

このチューニング1001の特徴は、とにかく癖をおさえこみ、中域を可能な限りナチュラルにしました。
だから相性のいいボーカルものはもちろん、オーケストラもそつなくこなす、
そんなオールラウンダーとなりました。

最後に。
今回はDENON・SC-E232、タンノイm1、そしてこの1001を同時進行しました。
同時にやる場合、それぞれの長所や短所が見えやすくなるのが最大のメリットです。

 まずユニット単体の場合、一番良いツィーターは1001、一番良いウーファーはE232、
そしてスピーカーとしてのバランス・ネットワークがいいのはタンノイm1というおもしろい結果となりました。
全部足して3で割ったら いったいどうなるのやら(笑

で、ノーマル(オリジナル)から一番大化けしたのが、今回の1001。
毎度手前味噌で恥ずかしいのですが、とにかく抜群にいい音になりました。
 この時期はまだ コストのかかった良い製品も多いいので、
ちょっといじってやるだけでも ポテンシャルがぐいぐい上がります。
2000年以降からの世代になると、デザインを重視した製品が多くみられるようになり、
残念ながら音質へのこだわりは薄れたような気がします。
 設計者やチームもどんどん変ってると思うが、このLS-1001やLSF-777などの思想をピュアに引き継いでいれば、
現在 日本のオーディオ界において、ケンウッドはトップメーカーになっていたかもしれません。
オーディオマニアの中では、まだまだ根強い人気を誇るケンウッド、今後の躍進に期待しましょう。
次回、過去扱った製品のリニューアル版です。どう変化するのか?お楽しみに♪

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