●世界中のスタジオで使われてるスピーカー。 それがヤマハのNS-10M、通称テンモ二。
そのマイナーチェンジ版が9年後に発売されたMPro(とSTUDIO)になり、そこからさらに6年後(1993年)に発売されたのが
今回紹介するMX、テンモ二の最終型だ。
家で普通に使うスピーカーとしては 少々物なりなさを感じる10Mだが、
マイナーチェンジされたMProは だいぶ聴きやすくなっていた。
その6年後の最終モデル、MXの実力はいかに!? |
YAMAHA NS-10MX 1993年 \64,000円(ペア) |
●メーカー解説: |
方式 |
2ウェイ・2スピーカー・密閉方式 |
使用ユニット |
高域用:3.5cmドーム型 ・低域用:18cmコーン型 |
再生周波数帯域 |
60Hz〜20000Hz |
インピーダンス |
8Ω |
出力音圧 |
90dB/W/m |
クロスオーバー周波数 |
2KHz |
外形寸法 |
215幅×高さ382×奥行199mm 約L |
重量 |
7kg |
|
●さて、ユニット・エッジは共に問題なし。
まずは一言
「 柔らかくて聴きやすい、落ち着きのある音だな 」
10M、MPro、そしてこのMXと、並べての聴き比べはしてないが、
このMXが一番聴きやすく、落ち着きのある柔らかい音色でした。
MProはもう少し煌びやかな感じなので、高域の物足りなさも少し感じます。
まとめると、テンモ二シリーズの違いはツィーターであり、ウーファーにはほとんど差がありません。
だから極端な言い方をすれば、それほど差が無いとも言えます。
高域の変化、硬いか柔らかいかの違いは微妙なところでもあるが、
極端に変えない(崩さない)ところは、初代テンモ二を尊重してるようにも感じました。
そのあたりは代々引き継いでおり、いいマイナーチェンジなんじゃないですかね。
ただし完全にモニターとして使う場合は、MProやSTUDIOのほうがいいでしょう。
このMXを聴く前に テクニクスのSB-RX70やダイヤトーンのDS-57HRVを聴いてたのですが、
それはどちらも重低音が出るタイプなので、直後に聴いたMXはめちゃくちゃ軽く感じました。
だがそのまましばらく聴きこんでいくと、すんなり馴染んでくるところなどは、
不思議なスピーカーだなーなんて思ったほどです。
テンモ二シリーズの中では一番低域がしっかり出てるところも、ひとつの要因かもしれません。
ソースの音源を足さない引かない、素直にそのまま出すのがモニターの使命ですが、
そんな方向性を崩さぬよう注意しながら、さらなるグレードアップをはかりたいと思います。
そんなところで、まずはじっくり検証してみましょう。 |
|
●設置場所が高いので ひっくり返してます。
ポイントはツイーターの高さで、
自分の耳の高さと同じくらいが ベストポジション。 |
●ユニットを外しました。
初代テンモ二から変わらない吸音材(グラスウール)は
見ただけで触りたく なくなるほど(笑 |
●ツィーター。
金網が付いてないのが パッと見すぐにわかる違いですが
たぶん ただのコストダウンだと思う。
その分マグネットが追加されており(キャンセリングマグネット)
音色も柔らかくなっている。 |
●ウーファー。
30年以上変わってないのが この白いコーン。
とにかく軽い!
と感じせるほどレスポンスの良いものです。
ツィーター同様キャンセリングマグネットが追加されてます。
重さ6kg→7kgに変わったのは、このマグネットが原因でしょう。 |
●さて、クリーニングしました。
オーナー様からは塗装を希望されてましたが、
前回同様”漂泊 ”にしました。
理由はこの軽さ、鋭いレスポンスをそこないたくないからです。
上の写真(白コーン)は作業前で、実際は少々黄ばんでいたり、
シミがありますが、写真じゃわからないですね。
←漂泊により真っ白になりました。
ただしコーンを傷めないようになどなど
難しくて神経使うんですよ。
ツィーターは分解して清掃、また組み直しです。 |
●これはノーマルのネットワーク。 |
●チューニングしました(右)。
ウーファーのコンデンサーとケーブルを交換。
継ぎ手などのロスが出ないよう 考慮して組みました。 |
●ターミナルも交換。
このターミナルは昔のメーカーでもよく使われていた
タイプで、私の好きな形でもあります。
でもボルトが短くて 使い勝手が悪いから
あまり出番がないんですよ。 |
●ネットワークの完成! |
●そのネットワークを箱に装着します。
グラスウールは干しといたのでふわふわになりました。
でもチクチクはあいかわらずです。 |
●ユニットを装着し完成
の前に、一発聴いてみてください。 |
|
●参考程度ですがフィーリングが伝わればいいですね。
ソースは女性ボーカルで、夏川りみさんと 彼女 。
ボリュームは一定だけど、スピーカーにより能率が違うので、
音の大きさが若干違います。
それと車の走る音(ノイズ)が入っちゃってるものもあります(^^;
私の真骨頂はボーカルですが、こうして撮るとエコーの強さが
気になりますね。
低中高がバランスよく入ってるソースを選んでますが
悩みどころです。
|
|
●完成!!! いかがでしょう。
箱は木目が消えないよう注意しながら再塗装、半艶で仕上げました。
ちょこちょこあった傷や歪みは全て補修、かなり綺麗になったと思います。
一枚目の写真(天板)、左右で木目が繋がってるんですけどね、うまく写りません。
MXは初代やMProに比べ やや高域が弱め。
だから全体が柔らかく聞きやすい音質だが、中域にいたっては、もう少しクリアーでもいいと感じました。
そのあたりが、今回のチューニングポイント。
傾向はほぼ変えずに、一枚ベールを脱いだような、そんな音質に仕上げました。
一番合うソースと聞かれ 返答が難しいのだが、パッと出るのはやはりTVですかね。
MXは初代にくらべだいぶ使いやすく、マイルドな音質です。
初代テンモ二を聴いて「 なんだこれ 」なんて思った方でも、MXではそうならないんじゃないですかね。
とにかく普通に使うには気難しい性格ですが、一台は所有したい一品でもあります。
最後に。
最近はYouTubuにUPしてますが、UPしたその音を聴くのはパソコンのスピーカーですよね。
パソコンは人により環境も違いますが、音(スピーカー)となるとさらに違うでしょう。
実際には手のひら程度の パソコン用スピーカーを使ってる方も多いと思いますが、
そんな環境の場合、重低音なんてまず聞けませんし、音割れもしてきます。
(重低音は 録音の段階で音割れするんですけどね)
だから中域を重視してソースを選んでますが、そのスピーカーのフィーリングが感じられれば◎ですね。
あとは動画で音のみだと だんだんと飽きてくるので、何か工夫できればなあ、なんて考えてます。
そんなところですが、次回もお楽しみに♪
|