●今回は久々、ダイヤトーンの登場。
3wayで高さ50cmという、良く言うといいサイズ、悪く言うと中途半端で微妙なサイズ。
そんな DS-57HRV の紹介です。

ダイヤトーンに人気のある 旬の発売時期だと思うが、やや落ち目傾向の時代でもありますよね。
そんな傾向は部品(コスト)に表れておりますが、この57HRVは果たしてどうなのか!? さっそくはじめましょう。
DIATONE DS-57HRV 1989年 \78,000円(ペア)
メーカー解説:
方式 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・防磁設計
使用ユニット 高域用:1.6cmドーム型 ・中域用3cmドーム型 ・低域用:22cmコーン型
再生周波数帯域 42Hz〜30000Hz
インピーダンス
出力音圧 90dB/W/m
クロスオーバー周波数 1.5KHz、10KHZ
外形寸法 幅285×高さ520×奥行258mm 約20L
重量 12kg(1台)
●写真でもわかるようエッジが×なので まずは交換。その後エージングなしで
まずは一言
「 なんか懐かしい ダイヤサウンドだね 」

久々に聴いた気がするというか 懐かしいというか。
DS-500や300Vとはあきらかに違う(中間とも言えそうな)ダイヤトーンサウンド。
その特徴はやはり中域にあり、硬くもなく柔らかくもない わりとナチュラルな音がふわっーと広がってくる。
どこか奥深いというか、遠いというか、
そんな凸傾向がダイヤトーンの特徴であり、このボロンのピーキー感もまた 特徴の一つでしょう。
DS-55XLを少しワイドにしたような、そんな風にも感じられます。

特徴的な凸の中域だが、わりと輪郭がはっきりしている シャープな印象もあります。
そんなシャープな中域に合わさる高域は、どこか奥ゆかしく控えめでした。
70年代〜80年代前半のような主張する高域とは違い、できた奥様といいますか、中域を立ててやってるような
そんな存在でした。
ただしそんな奥ゆかしいところが、逆にワイド感を損なってる原因でもあります。
低域はわりと伸びてきて 量感もそこそこある。

全体的に重心が低域よりなので、もっと高域を強く、かつさらにワイドレンジにする。
そんなところが チューニングの肝となりそうです。
ではさっそく内部検証へうつりましょう。
●今の時代にはない3wayのこんなサイズ。

当時これを買うならば、66とか77にいってますよね。
逆に小さいのがいいなら、200や300シリーズとか。
だからこの大きさで3way
この57HRVを買う人は、よっぽどダイヤトーンが好きなのか、
はたまた見ために惚れたんですかね。
サイズを優先して購入した人も、中にはいるかもしれません。

とにかく、何事にも難しいサイズであることは
間違いありません。
●ダイヤトーンに限らず、
この時代のスピーカー全般に言える事だが、
こんな錆が多く見受けられますよね。

逆に言うと、それだけコストかけてる
しっかりした物ということなです。

でも綺麗にするのが、以外に大変なんですよ。
●ユニットを外しました。
ネジは全て同サイズの六角でした。

補強はそこそこで、吸音材も基本に忠実と
言ったところです。
●真ん中よりやや上、MIDの後ろ側にネットワークが付いてます。
ネットワークを見ただけでも、
ああこれダイヤね
と分かるような、そんな普通のネットワークでした。
ただし、
ツィーターとミッドが連動されているところが気になりました。

これツィーターとミッドというよりは、
ツィーターとスーパーツィーター、
3wayではなく2way+STWと言ったほうが
音の傾向がわかりやすいかもしれませんね。
●ウーファー。
コーンはプラでエッジはゴム。
特に特徴の無いウーファーだが、
この時期のアルミフレームはすごいっす!
超頑丈でブレません。

この時期でも、ただのプレスもありますから、
このフレームが最大の特徴でしょうね。
大音量で鳴らしたくなります。
●これはミッド。
これだけ見ると、ミッドというよりツィーターです。
たぶん他の2way機種には、
ツイーターとして装着されてるものでしょう。

最大の特徴はダイヤのお株と言っていい
”ボロン ”でしょう。
パキパキに割れる事も多いので
樹脂製(ただのプラスチック)も多く出回ってるようですが、
色ムラがあるのが、本物の証とも言えます。
●これはスーパーツィーター的ツィーター。

まず始めに、これを見せていいものかどうか、
けっこう悩みました。
だっておもちゃみたいで やばいんですもん(笑

元々は白いスポンジが真ん中に貼ってあったのを、
構造を確認する為に剥がしました。
インピーダンス1300Ωと
書いてあります・・・
構造はピエゾ式のノリで、音もそんな感じ。

だが音が小さいのなんのって。
聞こえてるか聞こえないか、微妙なところなんです。
だからこれの優位性が まったく感じませんでした。
無くてもいいくらいです。
今回最大の悩みどころでした。
●さてさて、エッジを交換する前に
フレームを磨きました。

左が粗磨き、右が中目
●そしてこれが細目。
この後コンパウンドで磨くと
もうピカピカになります。
●これはツィーター・ミッドのフレーム。
薄いのだが一応アルミです。

ほんとに疲れます。
だから磨きに雑なところがありますが、大目に見てください。
●磨き終了〜!
●で、実は磨いた後が一番大事で、
コーティングなり塗装なりしてやらないと、
またすぐに濁ったり、錆も出る場合があります。

箱のこげ茶に合うよう、ゴールドにしました。
ややムラがありますが、
それは塗りムラではなく磨きムラです。

一番の特徴は周りのフレームだけでなく、
中のリングもゴールドにした事。
それにより、あたかも最初からこうであったかのような
そんな純正のような雰囲気が出せました。
もちろん高級感もかなりあります。
●ユニットを磨いた後にエッジを張り替えました。
だから視聴はこのタイミングなんですけどね。

ユニットを装着したので色具合も確認。
ウーファーが少し薄かったので濃くしました。
●ネットワークを外します。

エッジ張り替え後 十分に聴きこみ
弱点を改善していきます。
●ネットワークチューンの完成!

ネットワークに詳しい人が見ても、たぶん一瞬???
と思えるでしょう。
それだけ凝ってチューニングしてます。

ターミナルカバーにはスイッチを装着。
前回のRX70もそうだが、切り替え式は久々ですよね。
それだけ悩んだ という事でもあるんです。
●外装を仕上げました。
ネットワークを取り付け
●ユニットを取り付け完成!!!ですが、
その前に
●一発聴いてみてください。

←これは背面に取り付けた 切り替えスイッチの効果を試すもので
スイッチONで、よりリアルボーカルへと変わります。
効果がおわかりいただけるでしょうか。

元(オリジナル)の音は撮ってません。
撮り忘れと言うか、この時はまだ
動画をUPしようと考えていなかったんですね。
だから最初も後も両方がチューニングした音ですが、
元のものとは音質がぜんぜん違うんですよ。

その他Youtubeのページは「 こちら
●完成!!! いかがでしょう。
元々傷の多い筐体っでしたが、かなり綺麗になりました。半艶仕上げです。
箱が渋めのこげ茶なので、ユニットのフレームを磨いてからゴールドへ塗装っしました。
最初は輝きすぎだったので 少し艶を抑えてみると、だいぶ馴染んできました。
純正のような、そんないい雰囲気に仕上がったと思います。

さて音質だが、直接聴くのとはやや差があるものの、動画でもフィーリングは感じられますよね。
簡単に言うと、リアリティを追及したタイプです。

 まずは高域のSTW、これの音質は大丈夫だったが、能率が低すぎてぜんぜんダメでした。
普段はほとんどやらないのだが、今回はそのSTWに、ウーファーとミッド(TW)を合わせました。
まずはそこからやらないと 全てがはじまらないんです。
他には、このSTWをそっくり交換しようとも考えたが、とりあえずはオリジナルの音で頑張ってもらう事にしました。

全体の雰囲気、音質は前回のSB-RX70と似た傾向で、こもりが強い音でした。
 高域が弱いので低域が強く感じるのだが、さすがにSP-300Sの低域を聴いてしまうと、
他のスピーカーの低域がダラダラしてるように聞こえてしまいます。
そこはユニットのエッジ、吸音材、ポートで調整しました。
 ダイヤの特徴でもある凸の強い中域だが、ここは背面ポートが幸いしており、わりとマイルドな特性でした。
だからそれほど気にすることはなかったです。

いつものように 人の声をリアルにするわけだが、リアルにするのはピークとのギリギリで紙一重のセッティングなんです。
だから人の声以外のソースによっては、まれにピーク感を感じることもあるでしょう。
そんな時はスイッチをOFF(-黒側)にすれば 問題ありません。
そんなギリギリだからこそ、背筋がゾクゾクするような音がだせるんです。

最後に。
この57HRVは、一音一音が明確になり(解像度が良くなり)、レベルがかなり上がりました。
低域に関してもたぶん、レベルの高い音になったと思うのだが、追い求めてしまうと やはり低域は難しいですね。
ただ良く言えば、スキルが上がってる証拠でしょうね。
 今回も動画により、いつも以上に理解されたかな?なんて思ってますが、
画期的になるのならば、どんどん新しい事をチャレンジしていきたいです。
今のところ次回は未定ですが、依頼品をどんどん進めていきます。何が出るかはお楽しみに♪


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