●今回は平面型ユニットで、しかも同軸2wayという とってもレアなスピーカー
Technics SB-RX70 の紹介です。
ヴァリアスクラフトでは、初のテクニクスですね。
ずっとS01をやろうやろうと思っていましたが、タイミングを逃しっぱなしでした。
そんな時今回のSB-RX70が登場したというわけです。

まず箱から出す時、「 重くて出しずら〜 」なんて思ったのが第一印象です。
その後顔をパッと見た時、すげっ!なんて感じで、インパクトが強烈でした。

平面と同軸という Wでレアな構造を持つRX70。果たして実力はいかに!?
さっそく検証にはいりましょう。
Technics SB-RX70 1988年 70,000円(1台)
メーカー解説:
方式 2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・防磁設計
使用ユニット 全帯域用:2ウェイ同軸型 ・高域用:2.7cm平面型 ・低域用:24cm平面型
再生周波数帯域 30Hz〜50000Hz
インピーダンス
出力音圧 86dB/W/m
クロスオーバー周波数 2KHz
外形寸法 幅300×高さ480×奥行280mm 約25L
重量 20kg(1台、モニター500ばりに重いっす)
●エッジはゴム。やや硬めの感じがしたが、問題ないレベルなのでこのまま音出し。
まずは一言
「 う〜んう〜ん。 こもりすぎというか、ふんづまりすぎ・・・ 」

説明がすごく難しい、なんて言えばいいのか、
パッと聴いた時、全体的には”こもっってるなァ〜 ”と感じた。
だが個別というか、中域自体はそれほどでもなく、比較的クリアーなセッティングにはなっていた。
 ただしこれでTVの音を聴いたとき、女性の声はいいが 男性の声は凄く変。
そんな風と言うか、何かそのあたりに違和感を感じました。

たぶんこれ、中域の凸をネットワークで かなりコントロールしてる。
そんな気がしてなりません。
ロジャースやハーべスなどの外国製もバリバリにコントロールしてるのだが、
これもフィーリングを似せたかったのか?ユニットに限界があったのかは定かではありません。
 こういう音色は長所と短所を併せ持ち、クラシックにはいいがボーカルには向かない。
これはいいがこれはダメといった具合、好き嫌いが大きく分かれるような、そんな差の激しい音色でもあります。

日本にはONKYOやパイオニアというTOPメーカーがありますが、
どのメーカーでも上を狙っており、追いつき追い越せと思考を凝らしていた。
テクニクスも例外ではなく、これは”起死回生をねらった一発 ”じゃないけど、かなり”拘りぬいた ”作品なんでしょう。
そんな思いがひしひしと伝わってきます。
ただ残念なのが、同軸の優位性が見いだせなかった事ですかね。点音源とかぜんぜん感じられません。
とにかく聞いた瞬間チューニングが必須だと感じたRX70ですが、まずはじっくり内部を 検証してみましょう。
●見ためのインパクトがありますよね。
だが聴いてみると・・・
●思わずこうしたくなったほどなんです。

低域が強いので
6ΩのSTWと 1uFのコンデンサーでは、
まだ気持ち負けてる感じでした。
もう少しだけ 能率の高いユニットの方が良さそうです。
表からはユニットは外せないので裏ぶたを開けます。

だがここから苦労への序章となる。
●まずはこれ。
背面板のネジなんだけど、錆びてるうえに細めなんで
軽くポキッといってしまいました。
●ネジはべつに折れてもいいんですよ。
だが箱に突き刺さった方が
「 まったく外れない!!! 」
色々な道具を駆使したが、ネジが削れてしまうばっかりで
ぜんぜん外れて(まわって)くれません。
いっそのこと、ネジを留めてる土台部分、
そっくり削り取ってやろうか!なんて思ったほどなんです。
とにかくいきなりこんなんで・・・

問題は置いておき、とりあえず先に進むとしましょう。
●これは背面板の裏側。
ツィーターとウーファー、独立されたネットワークが付いてました。
立派で複雑な構成です。
よくよく観察するとこれ、
ディッピングフィルター 」が付いてるじゃありませんか。

ディッピングフィルターとは?
特定の帯域をカットするフィルターで、
ウーファやフルレンジユニットの高域共振を消す場合などに
使用されます。

ようは凸を凹ます装置で、1KHz辺りなんかでやると
つっぱったボーカルが薄くてクリアーなボーカルに変わります。

てっとりばやく凸を凹ますわけだが、
その周辺に違和感が出るなど、色々と弱点もあります。
私は気にくわないフルレンジなどに付けたりしますが、
弱点をそのつど補うようなセッティングもします。
傾向がわかってくると その対策もしやすくなりますね。
ここがチューニングのツボになりそうです。

●でこちらはポート。素材はなんと”
以前ホームセンターをぶらぶらしてる時、
これと同じような鉄パイプをみつけました。
径は50mmくらいだったので、ポートにでも使えそうだな
なんて思ったのだが、持ってみてびっくり
すげー重いんです。
何キロあったのかはわからないが、
それはとにかく重かったので、フルレンジ箱にいいな
なんて感じてました。
それをこんなところでお目見えするとは・・・
しかもスピーカーの素材としては” ”じゃないですかね。
さらに何かめっちゃ厳重ですね これ。
機会があれば 詳しく実験してみたい。
●こちら箱の内部。
吸音材(フェルト)がぎっしり詰まってる。
●吸音材をずらすとユニットが見えました。
ここでも問題発生2。
またまたネジが外れません。
無理やり外そうとすると、ブチ切れてしまいます。
でなんとかネジを外したのだが、
今度はユニットが外れません。

とにかくめちゃくちゃ固着してるもよう。
大型ハンマーを使ったがダメ。
これ以上やるとユニットを破損しかねません。
箱に切り込を・・・・
悩みどころ満載です・・・・・
●箱を後回し・・・ユニットも後回し・・・
気を取り直してネットワーク。
●で、チューニングしました。
ターミナルカバーには切り替えスイッチも付けました。

だがここでも問題が・・・。
この写真は2回目のセッティングのもので、
このあとやり直し、やり直し、やり直しと・・・・
4、5回セッティングを変えました。

片側のツィーターが歪んでいたのが原因の一つですが、
ユニットそのもの、構造にも問題があるように感じました。

加え箱が重いので、
いちいち”どっこいしょ ”って感じ、超大変だったです。
歳かな・・・(笑
●背面ターミナルに切り替えスイッチを付けました。

極端な変化は無いほどの特性だが、
スイッチONで
よりリアルなボーカル(中域)へと変わります。
●ジャンパーがひ弱でしたので、
6Nの銅単線に変えました。
●で完成!!!

オーナー様との打ち合わせで、
箱の仕上げは保留です。

音はとにかく
激変ですよ!激変!
●素晴らしいお部屋ですね。
地球が綺麗。

わりと大きいRX70ですが、このお部屋に設置されると
小型に見えてしまいます。
部屋が広いので、
セッティングもそれに合わせました。
●機材もA級ですね。
●さて今回は、その変貌ぶりがあまりにも大きかったので、おもいきって動画に撮ってみました。
Youtubeへのアップロードも初めてです。
チューニング前と後の変化、ぜひ聴いてみてください。
●Technics_SB-RX70_jpop_normal.(夏川りみ)

今回から初の試みとなる、動画をYoutubeへUPしてみました。
音楽なんで動画に撮ろうとは思っていなかったのだが、
音質の違いがわりとはっきり出てたのには驚きました。

仕様した機材はパナソニックのデジカメ(TZ20)で、
音声はステレオ録音。
モノラルのものと比較すると 以外に差があり良好でした。
ユーザーにも理解されやすくなりそうです。

●で、まずこれは、SB-RX70の完全のノーマル音
メンテも何もしていない、届いてすぐに音出ししたものです。
この酷さがおわかりいただけるでしょうか。
これだけ聴くのなら耐えられるかもしれませんが。
●こちらがチューン後の音。

このスピーカー、元がかなり悪かったので、
テストも含め とにかくやりつくしました。
だから動画でさっと撮っても、違いがすぐにわかる内容です。

曲は夏川りみさんの涙そうそう。音源はWAV。
これボーカルとしてはMAXと言いますか、
声質がピーク感ギリギリなんですよ。
だからへたにチューニングすると 声が歪んで聞こえたりするんです。
そんな目安となる曲の一つなんです。

●画面をクリックすると一時停止・再生ができるので
上下でやると よりわかりやすいですよ。
●これはニー・ロリンズ、セント・トーマス。
有名な曲ですよね。

低域がしっかり出るようになると こんなフィーリングになり、
どんな曲でも安心して聴く事ができるようになります。

その他Youtubeのページは「 こちら

参考になりそうな時はUPする予定です。
何か曲のリクエストがあれば お待ちしてます!

ちなみに動画が終わったあと、他の動画が分割表示されるのだが
その中にTechnics SB-9500 があり、しかも同じ曲でした(偶然)。
リアリティなら ぜんぜん負けてないと思いますよ。
●さてさて、動画でお聴かせできたので へたな説明は不要。とっても楽ちんです。
ノーマル ⇔ チューニング の切り替えに差があったので、パッと聴いてもわかりやすいほどですよね。

ただし冒頭から書いてますが、このSB-RX70のセッティングは ほんとにマジ大変でした。
何度セッティングっしても なんか気にいらない。
このツィーターは歪みやすい上に限界も早い。だから中域が薄くなり声の出方が不自然。
じゃあウーファーでなんとかしようとやってみたが、これもぜんぜんダメ。
クリアーな中域、自然な声がまったく出てくれない。
平面振動板というこの構造も 一つの原因だったと感じました。
そんなんで あーでもない こーでもないなんてやりながら、蓋を開けては閉めるの繰り返し。
それに加えネジが全滅。
個体差があるのかもしれないが、外す時からすでに挫折しそうになり、まじ壊したい!と思ったほどなんですよ(笑
そんな苦労の甲斐もあり、結果はかなり良いものになりました。


最後に。
今回は初の動画を使った回になり、とても新鮮ですよね。
私がどんなに苦労してセッティングしてるのか、よりわかってもらえそうな気もします。

このスピーカーは絶対チューニングが必須!なんてことをたまに書いてますが、
その効果がおわかりいただけたでしょうか。
自分で言うのもなんですが、私がチューニングしたスピーカーは、わりと評判がいいんですね。
スピーカーをチューニング?
なんて意味すら解らない人にとっても、このフィーリングをより理解してもらえそうです。

今回は説明文が極端に省かれたので、とても楽な面もありました。
余計な事は言わなくていいような、そんな ことわざ もありますよね。
聴き比べがわかりやすい場合は、どんどんUPしていきますので楽しみにしていてください。
次回、ダイヤトーン DS-57HRV フルチューン。 動画有りです!お楽しみに♪

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