●スピーカーとしてはレアなメーカーサンスイですが、前回で何か、すっかり魅了されてしまいました。
なので続けての登場です。
今回はオーディオ全盛期の80年代製品。ギリギリの89年式ですがどう進化してるのか!?
そのあたりが見どころでしょう。ではさっそくはじめたいとおもいます。 |
SANSUI SP-300S 1989年 \45,000円(1台) |
●メーカー解説: |
方式 |
2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁設計 |
使用ユニット |
高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:16cmコーン型 |
再生周波数帯域 |
40Hz〜40000Hz |
インピーダンス |
6Ω |
出力音圧 |
87dB/W/m |
クロスオーバー周波数 |
1.5KHz |
外形寸法 |
幅224×高さ400×奥行298mm 約17L |
重量 |
10kg |
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●これも前回のSP-30同様、エッジの状態が目視できません。
たぶん大丈夫だろうと思うが、一応大音量はさけることにしました。
まずは一言
「 うわっ、これもすげーこもってる。でもすごい重低音。奥行きもすごい 」
いきなりの音出しは かなり久々だったのか?こもりの強い音でした。
しばらく鳴らしてるとだいぶ調子が戻ってきたのか、レンジもけっこう広くなってきた。
特徴的なのはこの重低音。
量感が凄いのはもちろんだが、とにかくレスポンスが良くバスバス切れる。
だからブーミー感も少ないので、低音好きにはたまらない、なんとも心地いい音色だ。
そんな馬力のあるユニットにもかかわらず、箱鳴りがほとんどないのも、超立派!
小音量でも、十分に高解像度が堪能できる。
とにかく素晴らしい低音です。
そんな強烈な低域のせいか、中高域は完全に負けており陰に潜んでます。
だからぱっと聴いた時”こもり ”が強く感じました。
傾向としては少し引っ込んでおり、ダイヤのDS-300Vに よく似てる印象です。
300Vは私の好きなスピーカーのひとつだが、この300Sもけっこう好みの音質でした。
特に低域に関しては、ワンランク上の音質どころか、ビクターのSX-V1以上かもしれません。
ハイエンド、トップレベルの音であることは間違いないでしょう。
いやはや、日本の中型でこんな低域を出せるスピーカーは少ないと思うのだが、実に驚きました。
ビクターのSX-V1は優秀な低域だが、箱を響かせるタイプで、
この300Sは極力響きを抑えるという、方向性が違います。
めちゃくちゃ重い箱なので、たぶん剛性もすごいんでしょう。
素晴らしい低域といえばすぐに、ハーべスのLS5/12Aを思いだしますが
あれはとにかくユニットが素晴らしい。小型では間違いなくNo,1の実力です。
箱の容量はだいぶ変わるが、LS5/12Aに匹敵するほどの実力でした。
それほどに力強い低域なので、負けないくらいの中・高域も必要なのだが、
この中・高域は完全に負けてました。
そこがチューニングのツボであり、うまく改善できれば、3、40万円クラスを凌駕するスピーカーになるでしょう。
チューニングメニューは脳内で組み上がってるので、あとはセッティングしだい。
そんなところで 内部を検証してみましょう。 |
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●小さくて分かりずらいが、エッジが見えないのが特徴的です。
それ以外はいたって普通。
見た目もダイヤトーンのDS-300Vにそっくりです。 |
●正面からユニットは外せないので
裏ぶたを外します。 |
●それよりもまず目についたのがこれ。
なんなんでしょうこのGは。
たぶんグラウンド(アース)のGだと思うのだが、
専用ケーブルがあったみたいですね。 |
●裏ぶたを外しました。
配線がすごいことになってる。
ご覧のようユニットは裏ネジ留めです。
箱の補強はそれほどでもないのだが、
ユニットを留めるための構造がすごい。
とにかくガッチリ付けられるように組んでありました。
このあたりはダイヤのDS-500よりもすごい。
ネットワークは独立式で、両サイドに取り付けられてます。 |
●見てくださいこのネジ。
全部銅製ですよ!
これでユニットを留めていたわけだが、
メーカーいわく、銅ネジは振動に強いらしいので
採用したようです。
柔らかいからいいのかな?
にしてもこれだけでも普通のネジの3倍はしますよね?
すごいこだわり。
これ飾っておきたいくらいです。 |
●こちらはツィーター。
パッと見普通ですが、振動板はソフトドームではなく
プラスチックでした。
硬めの振動板は 時代の流行りかな? |
●フレームはアルミで頑丈に作られているのだが、
ご覧のよう錆が浮いてます。
こんな感じも、ダイヤのスピーカーに似てます。
ダイヤトーンを意識してたのかもしれません。 |
●裏。
マグネットはカバーに覆われてます。
防磁設計。
ここで一つ注意。
青いケーブルは端子で付けられているのだが、
このままの状態では取り付けが 超困難なので
誤って抜かないように気をつけましょう。 |
●こちらウーファー。
エッジが中に入っており、手で触ることもできません。
だから状態をチェックすることもできませんでした。 |
●裏はこんな感じ。
想像以上に小さいマグネットでした。
それよりもこのフレーム、超怒級ですよね。
過去最高の剛性かもしれません。
もちろん重量もすごいです。 |
●これがエッジ。
素材はウレタンでした。
今はまだ大丈夫でしたが、このままだといずれ
ボロボロになります。
これは普通の柔らかさでしたが
ウレタンエッジの中には とても硬いものもあります。
(たぶん純正品ではない)
そんなエッジの場合は交換します。 |
●なので補強してやります。
ウレタンエッジの補強の仕方は、
まず油性の液体ゴムを、ほんの少し薄めて塗ります。
これは元のエッジの 奥まで浸透させるのが目的。
塗料もそうだが、油性は浸透力が強いんです。
一日ほど乾かし、次は水性の液体ゴムを塗ります。
水性の特徴は硬くなりにくいこと。
柔軟性を維持させるには水性が最適です。
このように、それぞれの特徴に合わせた素材を
使い分けすることが、
品質維持には大事なことだと思います。
これで5年は楽勝でしょう。
たぶん10年以上もつと思います。 |
●さて、これもフレームの錆がひどいですね。 |
●いったん全部削り落します。
そこから除所に番数を上げていくと |
●こんなに綺麗になります。
でもこのままじゃ味気ないので |
●ゴールドに塗装します。 |
●ツィーターも同じように。 |
●でユニットの完成。
アルミに塗料が乗り難いので 少しムラになってしまう。
今回は間に合わなかったのだが
次回からは特注塗料を使う予定です。
でもこれでも十分に綺麗ですけどね。 |
●ユニットを取り付け、色具合を確認。
ついでに出音チェックもおこないます。
このスピーカー、ケーブルが複雑ですからね。
外装を仕上げ |
●最近はこのような写真を撮ってませんが、
コルクシートは すべてのスピーカーに貼ってます。
でコルクシートを貼り |
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●完成!!! いかがでしょう。
今回は前回のSP-30同様、シックな3部艶ほどの仕上げにしました。
音質もそうでしたが、こうしてみると、ますますダイヤの300Vに見えてきます。
↑のバナナプラグは、このスピーカーには必須アイテムです。
Gはアースで、両ユニットのフレームに繋がってます。アンプのシャシーにでも繋ぐんですかね。
私の部屋にはアースがあるので試しに繋いでみましたが、ほぼ変化はありませんでした。
ユニットには優しいのかもしれないが、気持ちの問題でしょう。
さて、簡単言うと超強力な重低音でこもりの強い音だった300S。
そこでまずおこなったチューニングが能率の改善。
ユニット単体で音出ししながら合わせていく。
中域は元々軽い凸傾向だが、クリアーの感度を上げてやる為、少しだけ凹ませました。
それでもやや凸傾向だが、広めのレンジは維持したまま、ボーカルの声がだいぶ聴きとりやすくなりました。
中高域を一回り大きくしたので、全体のバランスもだいぶ改善されました。
そしてじっくりエージングした後の一言
「 これ、和製B&Wだね 」
低域はぶっちゃけ、SX-V1よりいいかもしれない・・・
久々の大ヒットというより、ホームランかもしれません。
それだけ素晴らしいポテンシャルを秘めたスピーカーです。
とにかく”重低音が凄く ”何度もアンプのスイッチ(ラウドネス)を見返したほどなんです。
私のツボにはまった原因はそこでもあるが、これは好みの別れるところでもありますね。
ソースによってはBassを絞るくらいが、ちょうどいいかもしれません。
ただしクラシック・オーケストラなどの野太い重厚な音にも、十分に対応できるので
箱のサイズを越えるほどの感覚や、余裕があるような感覚が味わえます。
そんなところが、B&Wの805に似てるな、なんて感じました。
和製B&Wというくらいですから、チューニングしだいでは805に近い傾向にもできそうです。
でもこれはこの味付けが特徴であり、わざわざ似せる必要はないでしょう。
ボーカルに関しては何十倍もの魅力がありますしね。
中域を少しクリアー質にしたので、オールジャンルこなせますが
やはり相性がいいのはボーカルでしょう。
TVの音なんか鳴らすと、こんな低音入ってたのか!?なんて驚くでしょう。
最後に。
サンスイ(山水、どっちがいいのか?)といえば、まず”アンプ ”を連想。
たぶんみなさんも、一度は使った事があることと思いますが、
スピーカーにいたっては、出してたんだ?と思ったのが正直な感想です。
当時はまだ子供でしたので、どこのメーカーがいいとかは解りませんでしたが
アンプにいたってはサンスイ以外考えられないほどでした。
そんなサンスイですが、
スピーカーの数が少ないのはコストのかけすぎか?アンプばかりに力を入れたからなのか?分かりません。
だがとにかく超がつくくらい、こだわり持って作られたことは間違いなく
価格以上、「 一級品 」の素質は十分なほどでした。
すこし癖のある音質でしたが、この実力はどなたでも感じられるでしょう。
もっともっとサンスイに触れたくなった、それほど影響力のあるスピーカーでした。
さて、2回連続で”サンスイ ”を紹介しましたが、次回もサンスイで、サン連発目です。
ページが”パート7 ”にまたいでしまいすが、どうぞご覧ください。お楽しみに♪
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