●BBCモニターで有名なKEF社「LS-3/5A」を指向した意欲的なキット!
それがコイズミ無線から発売されたオリジナル・2wayスピーカーシステム「 LS-350/kit 」である。
と文句はかっこいい!ですね。ではさっそくレビューに入ります。
コイズミ無線オリジナル LS-350/kit 2006年頃? 38,500円(ペア)
メーカー解説:こちら
方式 2ウェイ・2スピーカー・密閉方式
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:13cmコーン型
再生周波数帯域 46Hz〜23000Hz
インピーダンス
出力音圧 87dB/W/mくらい
クロスオーバー周波数 おおよそ3KHz
外形寸法 幅190×高さ305×奥行160mm 約L
重量 3kg
●まずは一言
「 な、なんだこれ。暗すぎる・・・ 」

暗い上になんだかえらい引っ込んだ音。逆にここまで引っ込んだ音のスピーカー、そうそうありません。
LS3/5Aに似せたつもりなのでしょうか?雰囲気はありますが、それはちょっと失礼ですね。
それにしてもこの引っ込んだ音、中域が割と団子なので、元々のユニット音色なんでしょう。只者じゃありません。
しいてロジャースで言うならば、15Ωより11Ωの、こじんまりとした音色に近い。
ただこのLS350は、日本の音?外国の音?というより不思議な音、あまり聴きなれない音なので評価するのも難しい。

このkitは密閉しかり、サイズまでLS3/5Aですから、つい比較してしまうのはしょうがないですよね。
そこが一番の問題であり、LS3/5Aとかの名前を出さずに、これはこれで押し切った方がいいと思うのだが。
そんな、もったいない感も漂ってます。

ただ基本的に暗すぎで、フン詰まった音なので、このまま聴く気にはなれません。
密閉としての長所も活かしきれておらず、”生々しさ ”がまったくありません。
そのへん倍音成分は、音楽を聴く上でとても重要な項目でもあります。
さて、ではさっそく内部検証へとうつりましょう。
●元々は自分で組み立てるタイプのスピーカーだが、
いつものメーカー製と同じパターンで進行します。

ウーハーは六角、ツィーターは+ネジ。
いずれもナット締めなので、ばかになる心配がありません。
●ユニットを外さないでFバッフルを外したいのだが、
気密性が良く外れにくかったので、
先にツィーターを外しました。
そこに手をつっこみ、Fバッフルを外します。
●ネットワーク基盤。
矢印のナットがツィーターと固定されてます。
●ドンッ!と出ました、ネットワーク。
これは見て解ると思うが、
コンテスト用のスピーカーを作るかの如く
ショップの気合が十二分に感じられますね。

とにかく大きくて、低損失そうなコイルとケーブル。
その上のコンデンサー。
こんな設置方法、まるでハイエンド機種ですね。
その横の小さなカーボン抵抗(右上)
なぜここでカーボン抵抗なのか?
しかもこの数、並列使いで。
コンデンサーもそうだが、徹底して歪を出したくないというか。
私には逆に、このあたりが問題に感じました。
やり過ぎというか、みずみずしさを奪ってしまうというか。
とにかく改良します。
●さて、このネットワークを改良するとき、
まずは抵抗・能率から入ります。
である程度決まったのだが、
箱も小さいし、気軽に出し入れできない。
あとからやり直すのもめんどうなので、
セッティングが楽な、アッテネーターを装着する事にしました。

背面を加工します。
左がアッテネーター用で、真ん中がトグルスイッチ用。
一番右の二つの穴は、ターミナル用で元々あいていたもの。

というかこれ、加工が楽なMDFでホッとしました。
これが合板とかパーチクルボードだったら、
倍は時間がかかりそうで、正直やる気が出ないかもしれません。

加工した場所に機器をセット、しっかり固定します。
●さてさてネットワークだが、右がノーマルで
左が改良した方です。
抵抗とコンデンサーを変え、コイルを追加しました。
コンデンサーはJantzen。
コイルがでかすぎで小さく見えますが、
これでもけっこう、でかいほうなんですよ。

元のカーボン抵抗は即廃止。
アッテネーターを付けてはいるものの、
メーカーにならい、小さい抵抗を付けました。

12dB/OCTにする為に追加したコイルは、
場所がないので基盤の裏側に設置しました。

しっかしこのコイル、普通のスピーカーケーブルを
グルグル巻きにした感じです。
単線に比べ、低損失なんですかね。
●こういう箱なので、装着しにくい。
●そうそう、ユニットの紹介を忘れてました。
こちらツィーター。
けっこういい感じの雰囲気があります。
ウーハーもそうだが、印刷シールや刻印など
まったくありません。
企業秘密なのか?明かしたくないのか?
たぶんこのスピーカーで、一番高価なのが
このツィーターでしょう。
●半透明のドーム型キャップ。
90年前後、DENON@デンマークを彷彿させます。
だがたぶんメイドインチャイナでしょう。
別に悪くはありません。
●横から見たツイーター。
容易に分解できない構造です。
密閉なので錆対策とし、ウレタンクリアーで
コーティングしました。

わりと爽やかな音色です。
●ウーハー。
いかにも低音出るぞ!って雰囲気があります。
●マグネットは大きいですね。
逆ドーム特有、癖の少ない
ナチュラルな音色でした。
とくにこれは、クリアー質の強い音色。

こちらも錆が出ないよう、しっかりコーティングしました。
●ユニットを取り付けていきます。
配線もあるのでやりにくい。
●全部取り付け
●完成!!! このシート、好き嫌いが分かれそうだが、鏡面にしたので、高級感はグンっと上がってます。

さてチューニング後の音色だが、アッテネーターを付けたので、それだけでも激変でしょう。
元はメモリでいうところ、1以下。0.5くらいの能率。
これは4前後でバランスが取れてます。(1〜10)
 トグルスイッチの方だが、今回はクロスポイントの変更ではなく、6dB⇔12dBを可変させました。
クロス変更のようなガツンとし効き具合ではないが、チューニングでは中域の雑味がスッキリし
より奥行きのある、立体的な音色になりました。
ただし根本的に、LS3/5Aのような質感にするには、ネットワークを一から見直さないとだめです。

 このてのkitを買う人で初心者はいなそうだが、これだけの装備品なら、組む前から期待も高まるでしょう。
それがギャップになりすぎて、よけいがっかりしてしまう。そんな人が多いのでは?と思いました。
ユニットのポテンシャルも高いし、ショップの気合も十分なこのkit。
サイズが手頃、見た目もLS3/5Aに近いせいか、所有欲はわりとくすぐります。
 デザインはもちろん大事だが、いかんせんスピーカーは音でしょう。
私のHPを見る人で、このkitの所有者にあたるかどうかは解らないが、もしいたらアドバイスしますから、
ぜひチューニングしてみませんか。生まれ変わりますよ。

最後に。
これは”何色にも染まってない ”というか、わりと異質な音質が逆に新鮮であり、感心したほど存在感があります。
 以前にメンテした中途半端なサイズのスピーカー、オウルテック。
あれと同じよう、なにかもったいない気がしてなりません。これもチューニングするならば、といった感じです、
ショップの気合は十分ですから、さらに改良したバージョンが出る事に期待しましょう。がんばれコイズミ無線!
余計な事とは思っているが、コイズミのHPにあるこのkitの視聴レポート。
 文章がうそすぎて、このスピーカーの質を下げてる気もするほどです。
LS3/5Aを解っているのか?疑問に思う文章でもありました。

次回、ちょっと自作の特注品が完成したんで、それを挟んだ後、また密閉を引っ張りだす予定です。お楽しみに♪


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