●infinity REFERENCE E-L
久々のインフィニティは Made in アメリカ。
アメリカと言ったらまず、JBLは絶対に外せない存在ですが、
私のHPではなぜか、JBLは手つかずで登場していません。特に意味はないんですけどね。

さてこのインフィニティ、単品販売かコンポセットだったのか?詳細わからずだが、
背面ターミナルがワンタッチ式なので、上級者向けではないようです。
 日本ではDENONが代理店だと思うが、日本向けの味付けはしてるのか?
そのあたりが聴きどころになりそうです。
その前に、まずはエッジの補修からですね。ではさっそく始めましょう。
infinity REFERENCE E-L 1993年 40,000円(ペア)
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:13cmコーン型
再生周波数帯域 70Hz〜20000Hz
インピーダンス
出力音圧 89dB/W/m
クロスオーバー周波数 5.5KHz
外形寸法 幅190×高さ295×奥行170mm 約L
重量 3.4kg
●自作エッジを貼り終え、エージングしないままでのレビュー。
まずは一言
「 シャリシャリ強いっすね 」

 いきなりの音出しですぐに感じたのは、高域のシャリシャリ、ツンツンしたような高い音。
だがこれはネットワークのセッティングによる出し方で、
 ”クロス5.5kとはこういう音なんだよ
という真面目で実直さが伝わるほどの、音質でもあります。
 日本製でクロス5k以上のセッティングの場合、だいたいはマイルドな音ですから、
こういうスパイスが効いたような刺激的な音は、いかにも”外国製 ”というわかりやすさもあります。
ハイエンドなんて言われるスピーカーも、ほとんどが外国製ですから、
これのような高域の出し方が多いです。
高域がよく伸びる!キラキラしてる!メリハリ・透明感がある。そんな言い方もあてはまります。

 低域はサイズらしからぬ、けっこう低くて重みのある音が出てきました。
そんな低域のおかげもあり、刺激的な高域とのバランスを、うまく保ててるようです。

中域はクリアー質で、全体音は外国製にありがちな”ドンシャリ ”傾向。
ただしツィーターのクロス位置が高いので、その分中域には厚みがのっており、薄っぺらくはありません。
 密閉方式で余計な音が出ないだけあり、低域の解像度もすこぶる高い。
総じてハイレベルな音を出している、そんな印象でした。

 日本の音とはあきらかに違う傾向だが、さすが外国製だな、なんて感心させられる実力があります。
同クラスの日本製なら、たぶん負けてるでしょう。
 ただし完璧ではなく、もちろん弱点もある。
それはこのシャリシャリした高域で、特にJ-POPを長時間聴いてると、あきらかに疲れます。
 エージングがぜんぜんできていないので、このツンツンがどれほどマイルドになるのか?
低域の量感も増える事が予想できますが、追って報告していきます。
とりあえず内部検証へといってみましょう。
●まずはユニットを外します。
ネジは全て+。

←プラカバー、これを止めてフレームを押さえつける
タイプもありますが、
これはウーハー・フレームに直接接着されており、
ネジ留めとは関係ありませんでした。
●端子がでかい。
アメリカ製スピーカーは
ちょっといいケーブル使うのが多いですね。
●ユニットを外すと、吸音材(綿)で真っ白。
●その吸音材を外すと、ネットワークが出てきました。
この吸音材、量がとても多く、
箱の容量の150%くらいでしょうか。
もぅぎゅうぎゅうに詰まってました。
箱に対しての量は、たぶん過去最高でしょう。
●ウーハー。
E212同様、コーンは普通のプラスチック。
同じ素材のような気がします。
マグネットは普通の大きさだが、
センターキャップは小さく、上を伸ばす構造。
これは、エッジを綺麗にした後の写真です。
●自作の布エッジを貼りました。
ダンピングもよく、音質は上々です。
●ツィーター。
マグネットは小さいですね。
このてのツィーター、
別のスピーカーでも、色々と使われてたんですかね。

さらっとした薄い音質が幸いで、
カットによる高域のツンツンは、痛いほどの硬さではありません。
●DENON SC-E212(右)との比較写真。
中央の三菱はサイズが同じ。
マグネットは違うようだが、ほとんど共有部品を
使ってるんでしょうね。

でもこの三菱、けっこうワイド感が出て
いい感じですよ。
●さて内部は、VCCを施工。
吸音材がかなり詰まってるので、
セメントの表面は気を使わなくいいのだが、
一応スポンジ等で処理しました。
ネットワークは部品交換、能率を変えます。
●これもE212同様、
外装(3面)を、しっとり3部艶仕上げに。
安っぽいシートですが、
だいぶいっぱし(突き板のよう)に変わりました。
●ユニットを取り付ける前に、
ツィーター(左)とウーハー(右)のネジを間違えないよう
気をつけます。
ユニットを取り付け
●完成!!! 外装のしっとり感、写真では表現できませんが、いい具合です。

 今回の infinity REFERENCE E-L は、エッジ補修がメインのライトチューン仕様。
ネットワーク・クロス位置は変えずに、ツィーターの能率を1Ω落としました。ほんとに微妙な値です。
 ソースによってはツンツンが刺さってくるほど、スピード感抜群の高域だが、
ある意味”諸刃の剣 ”かもしれません。
 たぶんツィーターのコンデンサー、容量を大きくした方が
より日本人好みの音質になりそうですが、インフィティを味わってもらいたいので、変えませんでした。
あとはいつものようにVCC。全体の底上げに、大きく貢献しています。

 VCCをやると低域がタイトになるの?という質問をもらいましたが、
たぶん想像よりはタイトになりません。
箱を補強するとタイトになり、低域の量感も減少しますが、これは逆に量感増えた?
と思える時もあるほどで、たぶん中・高域が鮮明になったおかげで、低域の量感も増えたように
感じるのではないかと思われます。いずれにせよ、具合いいです。

 さてソースだが、ドンシャリ傾向もあり、クラシックとの相性がいい。
だがしばらく鳴らし続けると、高域もマイルドになり、中・低域の厚みが増してきたので、
ボーカルもいい感じで鳴るようになりました。
だから今のとこは、オールジャンルで使えそうといった感じです。

せっかく兄弟分?がいるので、比較視聴してみました。↓
左が「 infinity REFERENCE E-L 」 右が「 DENON SC-E212
● 一目見ただけでわかるよう共通点の多い両者だが、直接聴き比べたらどうなのか?
ではさっそく一言。
「 すっげー似てる!!!フフッ 」

見た目どおりというか、目をつぶって聴くとかなり肉迫した音質でした。
 infinityの方が中域にメリハリがあり、輪郭もシャープだが、それはネットワークによる差でもあるでしょう。
とにかくそっくり
どっちがいい?の質問には、答えられそうにもありません(笑
 JBLしかりアメリカ人は、上に引っ張る音
例えばフルレンジ+ツィーターというような、そんな音が好みなんですかね?多いです。


最後に。
こういうドンシャリタイプは、店などの店舗で視聴するとき、クリアーに聞こえて有利な音なんです。
 加えて外国製、「 やっぱ外国製はいい音だな 」なんて言われた事も多かったはず。

SC-E212は、DENONの中でも特異体質だと思うが、これらの音を聴いてしまうと、
最近の日本製はいったい何なのかと、感じられずにはおれません。

 日本の技術は世界一ですから、スピーカーに関してもそうありたい、世界標準でひっぱってもらいたいものです。
今回の”infinity ”音質もウーハーも、前回のE212同様に良く”コストパフォーマンスも最高
あなどれないスピーカーでした。
 次回、あの小型モデルの後期型?登場です。お楽しみに♪

      ・・・        ・・・・・