●ONKYO D-S7GX
たぶんコンポセットのスピーカーだと思うが、情報がなくて詳細がわからず。
見た目からいくと2006年頃か?白いコーンと、背面のスリットポートが特徴的。
 D-V3EXとこれはだいぶ前に購入したもので、背面ポートという共通点がある。
前面ポートの場合、そのほとんどは低域に加え中域も乗ってくるので、必然的に中域凸特性になりやすい。
ONKYO製品もほとんどが前面ポート。だからONKYOとしての背面ポートは、珍しい部類に入るだろう。
 ただし前面だろうが背面だろうが、ユニットやセッティングによっては大きく音質が変わるので、
一概にどちらがいいとは言えません。
私の場合だが、どちらかと言うと前面ポートの音が好き。
だがONKYOに限っては、背面ポートの方がバランスが良く感じる。そのへんは完全な好みですね。
ではぼちぼち、はじめたいと思います。
ONKYO D-S7GX (FR-S7GX) 2004年 円
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:12cmコーン型
再生周波数帯域 50Hz〜35000Hz
インピーダンス
出力音圧 85dB/W/m
クロスオーバー周波数 6.5KHz
外形寸法 幅158×高さ267×奥行244mm 約L
重量 約4kg
●まずは一言
「 んー。悪くないけど、なんか雑だな〜 」

低域の量感もあるし、高域もほどよい塩梅。
中域はニュートラル的なやや凸。全体のバランスも悪くない。
ただなんと言えばいいのか、可もなく不可もない普通の音なんだが、いかんせんざらざらした雑味がある。
 そんなダメな点は、やはり中域周り。薄っぺらいとも言えるかな。
そんな雑味をスッキリさせてやると、奥行きが明確になり立体感がうまれる。
こういう音色、いわゆる6db/octやスルー系はわりと多いのだが、それらはユニットに大きく左右される。
ユニットによっては、適度なフラット感による素晴らしい音質のスピーカーもある。
でもほとんどはダメな音が多い。
 ウーファーをスルーで鳴らす場合、ユニットの特性に加え、箱の容量や響き、ツィーターとのバランスなど
ユニットだけではどうにもならない場合が多い。
だからそれらの全てが一致するのは、高確率の偶然とも言えるかもしれません。
ダイヤトーンのDS-200Zは、素晴らしいバランス感のあるスピーカーだが、
その後継機種ZAやZXは、同じメーカーでもあるにもかかわらず、バランスが崩れている事からも、
スルーで全体音をまとめるのは、難しい音色と言えるでしょう。
だからフルレンジは、一長一短なんです。

 少し横道にそれたが、このD-S7GX,、総じて一昔前の102や202あたりに比べると、レベルUPは十分に感じられます。
見た目も中々だと思いますし、色目の好感も持てる。
特にユニットはには品があり、少し尖ったセンターキャップなど、個性的で好感もてる。
これもたぶん”もうちょっと ”。そんなチューニングにより、かなり激変すること間違いないでしょう。
ではさっそく、内部検証にはいりましょう。
●写真が飛ん出てすみません。
いきなり内部、
VCC施工後の写真です。

【振動】  vibration
【制御】  control
【セメント】 cement
●セメントが完全に乾いたら、
表面を覆い隠すようにフェルトを貼ります。

内部が少し見えると思うが、
所々に細かいスポンジ(黒)が貼ってあり
箱の共振や響き具合を、よく検証してるようです。

黒豆のようなブチルゴムも所々に貼ってあり、
音に対するこだわりや気持ちが、十分に伝わりますね。
ただ一つの考え方ですが、
スポンジやブチルでもこれだけの量を貼ると、
それなりにコストもかかってくるでしょう。
それを止め、コイル一個にでもまわして欲しい、
なんて思う気もします。
●こういう所は、安さを感じさせますね。
補修しました。
●ONKYOのツィーターはどれも同じに見えてしまう。
どこからどこまで共有してるのか?
そんな極秘情報?が知りたいですが、
がっかりする恐れもあるし、知らない方がいい場合もありますね。

見て解るよう、
コンポ用としてはしっかりした作りですよ。
分解・清掃しました。
●ウーハー。
グラスファイバーコーンにゴムエッジの組み合わせ。
円錐気味のセンターキャップが特徴的。
白と黒のコントラストが素敵なウーハーです。

前モデルの茶系のウーハーより、コストはかかっているような
気がしますが、実際のところはどうなんでしょう。
思ったよりは変わらないのかもしれませんね。

見た目が好みせいか、音も良く感じてしまいそうです。
スルーで動作させてるだけあり、変な癖や嫌みは抑えられてる
ようで、上もけっこう伸びてます。
ですがウーハーのスルーはウーハーの音であり、
フルレンジとは違います。


●マグネットはやや大きめ。
このサイズや形、何年くらい変わってないのか
だいぶ見慣れてますよね。
ここのフレームにも、所々ブチルが貼ってありました。
まるで購入者が、後からやったような雰囲気です。

動作も含め、とりたて劣化してるようには感じないが
エッジを少し補強しときました。
●ケーブル。
このままの状態で、ターミナルに付いてました。
ご覧のよう、ウーハーはスルーで、ツィーターは
コンデンサーのみ(6dB/oct)の動作となる。
●迷わずネットワークを付けてやります。
元はクロス5kHzあたりの音質でしたが、
半分の2.5kHzくらいに変更しました。

比較的簡素な処理ですが、それでも質は
格段に向上しています。


ユニットを取り付け
●完成!! どんな物でも、綺麗なのはいいですよね。
さてチューニング後の音質。
まずは問題のあった中域だが、ネットワークを装着した事により奥行きや深みが増し、よりスッキリと輪郭がシャープになりました。
VCCシステムによる最大の効果は低域で、トランジェントの向上によるキレが鋭くなり、全体の解像度すら上がったような感じです。
高域は何も変わりませんが、全体はいいバランスを保ってます。
 ただ人により低域過多に感じる場合もありそうだが、グレードの高い音質へとうまれかわったのは、間違いないでしょう。

これは私の思いこみだが、このスピーカーもワンタッチ式ターミナルであり、つい見ただけでランクの低いスピーカーだと感じていた。
さらにコンポ用スピーカーという肩書でしょ。
そんな事も拍車をかけ、音を聴く前に安いとかダメだみたいな、そんなイメージは正直ありました。
でも最終的にはただの偏見であり、音と値段は関係ないという結論です。
そんなところも、チューニングの醍醐味なんです。

最後に。
いつも思うのだが、ONKYOのツィーター・フレームって、少し欠けてるじゃないですか。
せっかくそういう形にしてるのだから、微妙な距離は止めて、くっつけちゃたらどうですかね。
雪だるまみたいに見える気もするが、それは新鮮で高級感も出そうな気がします。
KEFなんかはそんなパターンですよね。
ふと思ったので写真作ってみました↓右がそのくっつけたタイプ。箱のサイズも変えると、もっとバランスがとれてきます。
 次回は、カブリで申し訳ないが、優秀な密閉スピーカーの登場です。お楽しみに♪

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