●KENWOOD LS-E7。
これはコンポセットらしいのだが、ミニコンポに興味が無い時代(年齢)だったので詳しくは解らず。
最近のコンポは小型が多いのか?これは、この時代の象徴的サイズかもしれません。
私が購入したのはだいぶ前になり、LFS-777と比較しようと思っていたのだが、その時は今以上に段ボールが山積みでみつかりませんでした。
最近大掃除をしてる最中、出てきた一品です。
ミニコンポと聴くと単品に比べ、どうしてもグレードが下がるイメージがありますが、上位グレードは中々あなどれない実力があります。
このLS-E7はどの辺りのポジションかは解りませんが、ピアノブラック・鏡面仕上とは、メーカーの気迫が感じられます。
詳しくない人が見たら、高級グレードと錯覚するかもしれません。 ミニコンポでもオプションで、10万クラスもありますしね。
ケンウッドは風変わりなデザインが多いのも特徴的ですが、その音色も千差万別、メーカー色の掴みどころが無いのも特徴です。
このLS-E7、パッと見高級感のある鏡面で、DENON SC-E757バリすが・・・実力はいかに?さっそく検証に入りましょう。
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KENWOOD LS-E7 90年代前半かな? 1台 ?円 |
●メーカー解説: |
方式 |
2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式 |
使用ユニット |
低域用:16cmコーン型 ・高域用:2cmドーム型 |
再生周波数帯域 |
45Hz〜20kHくらい |
インピーダンス |
8Ω |
出力音圧 |
88dB/W/mくらい |
クロスオーバー周波数 |
2.5KHz |
外形寸法 |
外形寸法 幅210×高さ380×奥行275(グリル含む)mm |
重量 |
6kg |
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●ファーストインプレッション
まずは一言。
「 日本の音ッ!!て感じ 」低域がいいな。
高域
柔らかくサラッとしたソフトドームらしさのある音。キツサを抑えた、ナチュラルセッティングが伺える。
長時間でも聴き疲れはしなそうだが、少し甘め。
中域
やや凸気味で輪郭が甘い。わりとナチュラルだが何かが気になる。
ボーカルが気持ち良く聴ける傾向だが、セッティングに秘密がありそうな感じ。
低域
箱のサイズの割には量感が少ないかな?と一瞬思えたが、ブーミー音を抑え込んだかの如く鋭いキレがある。
ドロドロとした重低音が出ない分、中・高域を邪魔しておらずバランスも悪くない。
箱に強度があるのか?塗装のせいかは解らないが、ほどよい安心感があり”ちょうどいい ”感じ。
全体
若者向けにセッティングした感の強い、J-POP・ボーカル向きの音。ウエットで臨場感豊富なワイドタイプ。
日本製らしい音で中域もわりと自然だが、少し雑未を感じてしまう。
低域の具合は中々だが、全体的に”あとちょっと!! ”って感じかな。 LFS-777もあとちょっとって感じなんだよなァ-。
こういうのがケンウッドらしいと言うべきか・・・
KENWOOD経験の少ない私だが、これを聴いてなんとなく感じた事があります。それは
「 B&Wを意識してる!? 」
この時期の開発陣、どうもB&Wを意識してるよな音作りに感じてしまいます。
それは低域に表れており、ある意味特徴的な”ボソッボソッ ”というキレ具合。これは外国製の中でもB&Wらしいとも言える音で、
CDM1、705や805、802にいたってもそう言えます。
LSF-777しかり、ケンウッドの最大の特徴は、低域にあるのかもしれません。
でも単純にユニットが非力なせいで、ブーミーな音が出ないだけなのかもしれませんが。
過去の経験を思いおこすと、ケンウッドは他のメーカーに比べ「 低音ぜんぜん出ないじゃん 」という印象が強く、低域がひ弱なイメージがありました。
さて、中々の低域具合を持つLS-E7だが、全体はやはり日本製というか、J-POPに焦点を合わせた音作り。
ミニコンポで本格的にクラシックを聴く人も少なそうですから、あたり前と言えばあたり前なのかもしれません。
ちょっといじれば良くなりそうな気配プンプン、さっそく検証へと移りましょう。 |
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●ユニットを外します。まずはウーファーのゴム枠ですが、接着されていないのか?というくらい、簡単に外れました。
ツィーターは六角レンチ、ウーファーは+ドライバーで外します。ケンウッドはバラすのが困難というイメージもありますが、いたって普通でした。
ユニット外すと中ががらんどうで、上下にスポンジが貼ってある程度です。
シンプルなネットワークが見えますね。 これだけ見るとウーファーがスルーにも見えますが、共に6dB/OCTでした。
一番右、ポートは背面だが白い点々が見えますよね。この位置の汚れは元々あった感じだが(ここ以外にも)、管理体制の問題を感じてしまいます。 |
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●上段・ツィーター。コメントのしようが無いくらいの廉価版。ただ変な音が出ていないのは幸いかな。
下段・ウーファー。裸聴きの場合、前回のHOMNY F62 とは対照的なほど、非力に感じてしまう。
ごく平均的な作りだが、エッジのゴムは厚みがあり中々いい感じ。柔軟で耐久性もありそうです。 |
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●さて、もうちょっとだったネットワークを改造しました。元が6dB/octだったので、12dBにしようとも考えたが、ここは素直に
ツィーター・コンデンサーのグレードを上げてやり、ケーブルを追加しました。少しだけ中域をクリアーにした、ほぼノーマル仕様です。
もう一つの理由がウーファー。
元のネットワークは、2.2mHとわりと大きめなコイルで、音をガツンとカットしてます。このウーファー、2.2mHでは癖がほぼ出ないが、
それ以上上げてやると一気に癖が出る。癖の出ない位置は、このコイルを使うかスルーにするかのどちらかという選択肢。
あたりまえだが、この辺はメーカーも熟知してるようで、この値のコイルをチョイスしたのは納得できます。だから音の傾向は変えませんでした。
元々のケーブルは、ウーファーよりツィーターの方が細いという珍しい使い方。これは音の為ではなく、単純にコストダウンでしょう。だから追加しました。
ここから先のチューニングは、完全な好みの世界になり、再セッティングのフルチューンになります。
このLS-E7は、このへんが妥当かなと思い、先には進みませんでした。
ツィーターは分解・清掃し、ウーファーはエッジを補強します。フレームには気持ち程度のダンプ処理を施しました。 |
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●箱の仕上げに入ります。まずは吸音材。
最近はグラスウールが入手困難なので、メーカーがよく使うフェルトを買ってみました。厚みは1cm程度でハサミでも切れますが、けっこう握力を使います。
そのフェルトを背面と両サイドに、ほどほどに貼ります。
気持ち的には内部補強を入れたいところですが、ユニットが非力なのでやめときます。
箱の表面、ちょっとした傷を補修した後、磨きました。
右上の写真が解りやすいと思うが、このスピーカー、サイドの塗装は完全に手抜きです。
まァ手抜きと言いますか、1回のみの塗装らしい薄さで、下地(木材)が薄っすら見えるほどでした。だから磨くにも慎重になるほどです。
フロントバッフルはぜんぜん問題ないが、コストダウンなんでしょうね。 鏡面で反射するし、サイド側はまじまじと見ない箇所なので、安ければそれはそれでいいのかもしれません。
軽くフォローしてやると、大理石風・マーブル模様!!(笑
下段の矢印、メーカー製ではありがちな溝です。普段からこういう溝は気になるが、黒鏡面だと余計目立ち、さらに気になるので塗装しました。
溝が無いともっと高級感がでるんですけどね。
箱が仕上がり、ユニットを取りつけ |
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●完成!! 前回からだが撮影の際、本格的にライティングしてみました。
白色の電球型蛍光灯を使い、両サイド斜めから3発、上から6発の計12発。深夜に点けると、昼間並みの明るさです!!
細部がよりクッキリ撮れました。ただカメラを上手く使わないと、左のようにすぐ露出オーバーになってしまいます。あとは床が白だと、もっといい感じで撮れそうですね。
さてチューニングの変化だが、音の傾向はそれほど変わらずで、全体が少し明瞭になり、シャキッとした感じ。
元のフィーリングよりはだいぶ良くなり、けっこうB&Wに近づいた感じがします。
最初のインプレッション同様、ソースは基本的にボーカルとの相性がいい。
中域を少しだけクリアにしたので、わりとクラシックもこなすようになりました。
低域の出方は相変わらずいい感じで、こういう低域はオーケストラとの相性がバッチリです。
量感に関して、私はそれほど物足りなさは感じないが、どうですかね。微妙なところです。
同メーカーのS270よりは、よっぽどいい音です。あれはネットワークのセッティングが悪いんですけどね。
今回、吸音材に初めてフェルトを使いました。
内部内側に貼っただけなので、効き具合はほんのりといった感じ、これの場合は”ちょうどいい ”感じです。
グラスウールとは質量が違う分、効き方にも差がでそうだが、ちょっとだけなんとかしたいっ!!とか、量感の少ないスピーカーに使うには、いいかもしれません。
私はグラスウールの音に慣れてるので、いまいちピンとこなかったのが正直なところです。
見た目に関してだが、写真バシバシ撮ってると、なんだかE757に見えてきました。そんな雰囲気は十分に醸し出してます。
最後に。
トリオからの流れを引き継ぎ、そこからのファンも多いケンウッドですが、今回はなんとなくメーカーの意図が見えた気がします。
ケンウッドがどうもピンとこなかったのは、実は日本製らしくないというか、外国製をベンチマークにしてる?傾向の表れかもしれません。
外国製スピーカーを使った事が無い人にとっては、雰囲気を味わえるかもしれませんし、私のように、ピンとこないかもしれません。
いずれにせよ、表現に困るほどの、微妙なフィーリングのスピーカーでした。
次回、最後の写真にあるミニミニスピーカーを登場させます。フルチューン仕様なのでお楽しみに♪ |