暮も押し迫る中、早々に大掃除を始めました。物置化してる部屋には、とにかく段ボールの嵐・・・・
そんな時、微妙な大きさのこの箱は何だろう?とみつけたのがこのスピーカー。
 箱は未開封のままだったのでさっそく開封。色は黒、一見ダイヤトーンかな?と思いながら取り出してみた。
ぱっと見、メーカー表記のエンブレムも無く、背面すら何も書いてない・・・どこのメーカー?ひょっとしたら自作か?
なんて不思議に思いながら、もう片方も取り出す。すると背面に小さいシールが貼ってあり「HARMONY MODEL F 62」と書いてあるが???解らない・・・・
とりあえずネットでググッてみたが、情報が一切ない。外国製らしい事は解ったがどこの国なのか?アメリカか?
・・・そんな経由で登場したこのスピーカー。詳細は一切不明だが、果たして実力はいかに。
HOMNY MODEL F 62 推定90年代
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 低域用:16cmコーン型 ・高域用:2.5cmドーム型
再生周波数帯域 45Hz〜20kHくらい
インピーダンス
出力音圧 88dB/W/mくらい
クロスオーバー周波数 2KHzくらい
外形寸法 外形寸法 幅200×高さ460×奥行250(グリル含む)mm
重量 約7kg
とりあえず気になったので、いきなりの音出し。(左の鏡面はKENWOOD LS-E7。同時進行)
まずは一言
「 なんですかこれ!!凄くいいんだけど 」・・・最近フルレンジばかりを聴いていたせいか?良く感じてしまうのかもしれない・・・

高域
明瞭でメリハリのある音。一瞬キツイかな?思ったが意外とサラッとしており、ボリュームを上げても嫌みな感じはない。
その分解像度が高く、繊細な音も聴きとりやすい。中々の優等生ぶりを発揮している。

中域
表現に困るほどのウェルバランス。気持ち凹みかなとも感じたが、ツィーターが頑張ってる明瞭な輪郭と
厚みのある柔らかいウーファー音とが、うまく交差した一体感がある。
団子のように交り合い・重なり合うのではなく、分解能力も高く感じられた。
心地良さとリアリティを兼ね備えた音は、いかにも外国製らしいと感じるが、クロスは2kHくらいだろうか?OLDダイヤトン―ン的とも感じた。

低域
かなり豊富な量感。 ソースによっては、ブーミーな時があるほど。ただし嫌みな箱鳴りも少なく、キレもいい。
低音好きにはたまらない音で、16cmとしては、かなり立派なほうでしょう。

全体音
中高域は明瞭でメリハリがあり、中低域は柔らかくナチュラルな音。それらがうまくミックスし、ほどよく”バランス ”が取られている。
 見てのとおり縦一直線に並んだユニット、ツィーター・ウーファー・ポートからは、各パートの音がしっかりと分離し聴こえてくる。
わりと豊富な低域だが他の音をかき消す事なく、低・中・高域のそれぞれが程よく主張しあい、分解能力を高めている。
ネットワークがいいのか?団子にならず、全体をスッキリまとめ一体感を醸し出してる所は”うまいっ ”と感じた。
外国製品に多々みられる、セッティングのうまさには感心するほどです。

正直ちょっと驚きましたね。
詳細不明な所が怪しさ満天だったが、出てきた音は、外観を一周り大きくさせるほどの音像でした。
のちにじっくりと聴き込み、比較視聴をおこないました。比較したのは、ビクター SX-V1・ONKYO モニター500・DENON SC-E717Rなどなど。
比較した事で、より傾向が見えてきたわけだが、どれにも似てません。しいて言うならモニター500かな。それよりも、DENON E535をふと思い出しました。
 モニター500は中・高域が明瞭でメリハリのある、鮮度抜群と言った音質。その高域具合が似ています。
私のE717Rは、聴感情・フラットを目指したチューニングバージョン。 一つのベンチマークにしてるわけだが、比較しても遜色ないくらい具合よく、嫌みや癖もほとんどない。
たまに高域が気になるソースもあるが、中々いいスピーカーである事は間違いないでしょう。
今のところ改造する必要性は感じませんが、しいて上げるなら低域あたりか。 それではこの辺で、内部検証へと移りましょう。
ユニットを外します。 真っ先に目に飛び込んできたのがケーブル。 後から交換したのか?と思えるほどのケーブルです。
外装は約5mm(1本)、一般的にも太めなほうですが、メーカー製の中ではたぶん、過去最高の太さだと思われます。
 ポートの奥は写真のよう、風切りのような仕切りが付いてました。
密閉並みに多い吸音材を取り除くと、ネットワークが顔を出します。 このネットワークを見た瞬間、まず日本製で無い事はあきらかでしょう。
 ネットワークを取り外します。シンプルな構成ながらも、ツボを抑えたセッティングに感心するほどです。
中域の凸を極力抑えようとするクロスの切り方は、外国製らしい味付けですね。特別チューニングする必要は感じなかったので、グル―でパーツを固めました。
ユニットです。上がツィーターで下がウーファー。 パッと見、特別な物には感じません。 マグネットサイズや構造も、いたって平均的な物です。
ツィーターは2.5cmのソフトドーム。黒のフェルトが貼られており見た目はいい感じですが、実際にどれほどの効果があるかは解りません。
 16cmウーファーはプラ(たぶん)コーンにゴムエッジ。 ボイスコイルの大きさやダンパーの形状・硬さなどなど、見た目ではほんとうに普通のウーファーだが裸聴きすると・・・
とんでもなく力強い低音、ドスドスと重くて低い音が飛び出してきた!! ラウドネスがONになっているのか?と思わずアンプを確認したほどです。
 こういう力強い音の出るユニットは、密閉でもバスレフでも、低域の量感があまり変わらないという特徴があります。
密閉でもバスレフでも量感の変化がなかった(増えなかった)FOSTEXのユニットを、ふと思い出しましたが、見た目に反する非力なのか?は、謎のままです。
箱の補修に入ります。傷が少なく、見た目もわりいい感じの箱ですが、これビニールシートでした。だから補修するには一手間いります。
フロントのつなぎ目や角は、下地が出ていたので補修後・塗装しました。仕上げは3部艶です。
つなぎ目のあるスピーカーは、色差の気になる物が多いですよね。そんな隙間を塗装してやるだけでも、グンっと見た目が良くなります。
 ツィーターは分解・清掃、ウーファーはエッジを補強しました。裏はマグネットの錆を落とした後コーティング。接点は磨いて固めました。
今回はネットワークをいじらない代わりに、写真のよう箱に補強をいれました。
これはウーファーをガッチリ支えると共に箱自体の強度も上がる2重構造で、低域の量感が豊富すぎる場合には、効果的な措置です。
ユニットを取りつけ
完成!!!

 肝心な音質だが、ネットワークをいじってないので極端な変化はありません。オーバーホールした事により、全体の明瞭感が上がりシャキッとした感じです。
ただ一点、箱の補強がかなり効き過ぎたようで、低域の量感が3割ほど減ってしまいました。
このままでも悪くはないのだが、なんとなく迫力不足にも感じます。
 そこで量感を増やしバランスを取るのに、補強したまま吸音材を減らすか、元に戻す(補強を外す)か悩んだ末、元に戻す事にしました。
このスピーカーはギュウギュウに詰まった吸音材で、あるていど低域のバランス感覚を保っていたようです。
何度もヒヤリングした結果、やはり素のままが好みなので、素直に戻しました。

さてソースだが、相性が良いのはクラシックやJAZZなどの楽器系。重厚な低域の伸びもあり、オーケストラもなんなくこなします。
外国製モニター傾向でもある音質はやや乾き気味で、J-POPやボーカルものは味気なく感じました。
ただ長時間による聴き疲れはなかったので、のんびりと聴く事はできます。

最後に。
響きの強い部屋に合うよう、スピーカーの響きを弱くする。そんな特徴は、外国メーカーにはありがちなセッティングです。
どのようなジャンルや年齢層をターゲットにしてるかは解りませんが、クラシックに強いと感じる外国製は、セッティングによりたまたまそうなったのかもしれません。
詳細不明で謎多きこの「 HARMONY MODEL F 62 」。中型クラス以上の力を存分に発揮しており、中々実力のあるスピーカーでした。
今時なさそうな風貌に加え、気楽に外国気分を味わうにはもってこいかもしれません。
・・・・これでもし日本製だったら・・・・赤っ恥もいいとこですね(^^
さて告知したトールは、少し手こずりそうな予感がしたので後回しに、次回はミニミニフルチューンの予定でおります。お楽しみに♪

      ・・・        ・・・・・