●ヴァリアスクラフト・スピーカーメンテナンスは、なんと今回で 祝100号 !!!
そんな記念すべき回に選ばれた、栄えあるスピーカーは「 DENON SC-E212
閲覧者には抽選で記念品でも、なんていいたいところだが、
そういうシステムを整えていないので、残念ながらありませんm(_ _)m
ではいきなりですが、さっそくレビューに入りましょう。
DENON SC-E212 1995年 30,000円くらい(ペア)
メーカー解説:ヨーロピアンサウンドへの徹底したこだわりによって誕生したコンパクトスピーカーシステム
方式 2ウェイ・2スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型・防磁型
使用ユニット 高域用:2cmバランスドーム型 ・低域用:13.5cmコーン型
再生周波数帯域 50Hz〜30000Hz
インピーダンス
出力音圧 87dB/W/m
クロスオーバー周波数 3.5KHz
外形寸法 幅185×高さ275×奥行200mm 約5L
重量 3.5kg
●ゴムエッジは問題なし、まずは一言
「 立派立派 」

巷の評判・印象の良いイメージがあったSC-E212。 ようやく視聴する事ができました。
まずは想像してたより小さいなァ、なんてのが第一印象。
これで音がいいか?・・・そんな不安もどこ吹く風、音出ししてびっくり、立派なもんでした。

 簡単に言うとドンシャリ型、中域凹のクリアー質傾向。
メーカーの説明通り「 ヨーロピアンサウンドそのもの 」でした。
日本タイプはおろか、DENONの音じゃないですよ、これは。
 私は数多い経験のおかげか、音を聴くとなんとなくネットワーク(パターン)が解ってしまいます。
このE212は薄っぺらい中域で奥行きが浅い、だから簡素なセッティングだろうな、なんて感じましたが、
それを超越するくらい、とにかく”ウーハーの音質が素晴らしい
このスピーカーの8割はウーハーのおかげ!といっても過言ではありません。
そんなSC-E212ですが、さっそく内部検証にはいりましょう。
●ユニットを外します。
ネジはすべて普通の+。
●簡単に外れました。
内部吸音材には綿が使われており、
全体の70%といったところでしょうか。
●その綿を外すとネットワークが見えました。
背面ターミナル・カバーに直付けタイプ。
このてのスピーカーは、一般的ですね。

箱の材質は15mmのパーチクルボード。
ケーブルは普通です。
●ツィーター。
フレームは全てプラスチック。
外から見て、なんとなく安っぽく感じますよね。
マグネットはえらい小さい、ネオジウムでしょうか?
これだけ見ると、まるでおもちゃです。

音質は小型タイプにありがちな、薄っぺらい音。
良く言うと、
すっきりしてる。透明感・爽やかさを感じやすい。
上はきちんと、伸びてるように感じました。
●これ写真のよう、回すと簡単に外れます。
メーカーの説明に、
ボイスコイルはボビンを介さず、
ダイレクトに振動板をドライブさせることで伝播速度を速めてる。
とのことですが、
コイルが振動板に直接という事なのか?
でもそんなのはよくありますよね?
いまいちよく解りませんが(^^;
とにかく、密着度が悪くてカタカタするので
そこは直したほうがいいでしょう。
●UP
矢印のよう、リード線がむき出し・未固定なのは、
分解するさいに破損する恐れがあります。
こういうのはいけませんね。

振動板・構造が気になったが、
逆に壊しそうなのでやめときます。
すきま(カタカタ)は、しっかり処理しました。
●ウーハー。
印刷表記がまったくないため、詳細はわかりません。
このウーハー、最大の特徴はなんと言ってもコーンでしょう。
ヨーロッパなどの外国製でありがちな、シンプルなプラコーン。
このプラコーン、なぜかは解りませんが、
なんかいい感じなんですよね。

紙ほどは柔らかくなく、カーボンやグラスファイバーなどなど
そんな物より柔らかい。
そのあたりのバランスがいいんですかね。
ロジャースやハーべスなんかもそうでしたが、
嫌みが少なく、安心して聴く事ができます。

とにかくこれもいいウーハーですが、一点だけ、
コーンに何か、ニスのようなものが塗られており、
それにゴミが付くと取り難く、見栄えが悪くなる。
ヘたに洗剤付けて拭くと、さらに汚くなる恐れがあります。
●で、どんだけの実力なのか?
手近にあったユニットと比較してみました。

このウーハーが断トツでクリアー質・中域凹傾向です。
ならフルレンジで使えるのか?
と思いやってみたが、高域が足りなく
フルレンジとしての使い方はダメなようです。

でも中域凹なんですよね。
ONKYOのウーハー(右上)とはまったくの真逆傾向。
だからこのウーハーをONKYO(D-V3)に付けると、
D-V3が別のスピーカーに変わるほど、
音が良くなるんですよ。

●さてさて、背面ターミナルを外します。
●シンプルなネットワークですね。
元は左で、ツィーター用のコンデンサーを交換(右)。
大きいMPコンデンサーを、ドンッとのせました。
ピーク感が減り、柔らかい音質に変わります。

このスピーカー、とにかくウーハーがいい。
だからあえて凝ったセッティングをしなくても
さらっといい音が出てくれるんです。
部品のグレードUPだけでも、効果ありです。

ただしバランス、ツイーターの能率だが、
気持ち下げようか?下げまいかなど
かなり悩みましたが、とりあえず変えませんでした。
●ターミナルを取り付け、綿(吸音材)を元に戻します。
ウーハーには馬力があり、
低域の量感はまずまずです。
なので吸音材はオリジナルのまま、
あえて調整はしませんでした。
●ユニットを取り付け
●完成!!! いかがでしょう。
外装ももちろん、しっかりおこなっており、しっとり感が出るような3部艶仕上げです。
一見シートには見えないほど、丁寧に手間をかけました。

 今回のチューニングだが、ネットワークはほぼノーマルで、部品の質を上げました。
中・高域の音質は純正とほぼ同じ。気持ち柔らかくなったかな、という程度です。 

 そんな音質との相性がいいソースは、ずばり”クラシック ”でしょう。
ボーカルの場合リアリティは抜群だが、ひっ込み傾向なので、臨場感がちょっとたりません。
ヨーロピアンサウンド・ヨーロピアンモニターといったほうが、わかりやすいかもしれませんね。

 さてこのサイズで密閉といえば、ついロジャースを連想しがちですが、
仮にLS3/5Aと比較しても、ぜんぜん負けておりません。
 傾向は違うので、そのへんの好みはいろいろでしょうが、
このE212一番のポイントは、”コストパフォーマンスが最高 ”なんじゃないですかね。
ペアで3万、売値2.4千円くらいだと思いますが、
今これが同値で売ってたら、即買いでしょう。
 音が良くて安い、そんないいスピーカーが、ここにありました。

 さてさてもうひとつ、今回のチューニングメニューにも密閉との相性がいい
【振動】 vibration 【制御】 control 【セメント】 cement システム、略して”
VCCシステム ”をおこないました。
これが音質のグレードを、大きく底上げしてると思うんですけどね。
●詳細はこんな感じ↑
 スピーカー本体の大きさにより変わるのだが、だいたい1個につき、800g〜1.5kgくらいのセメント入れてます。
だからペアで、最大3kg増しくらい。
中型スピーカーで3k増しといったら、けっこうずっしりくる重さになります。
 音質は気になってたので、機会もあり10人ほどの男女に聴き比べしてもらいました。
いずれもオーディオには興味のない普通の人。
VCCを施工したスピーカーとしてないスピーカー、その効果による違いを半分が感じとり、あとの半分はなんとなくといったところ。
まァわりと上々の結果じゃないですかね。

 VCCをやると低域がタイトになるの?と思う方も多いみたいですが、たぶん想像よりはタイトになりません。
箱を補強するとタイトになり、低域の量感も減少しますが、これは逆に、量感増える感じさえするほどです。
たぶん中・高域が鮮明になったおかげで、低域の量感も増えたように感じるのでは
ないかと思われます。いずれにせよ、ありそうでなかった、いい方法をみつけました。
気になる人は、ぜひ試してみてください。

最後に。
今回はユニットの重要性を、まざまざと見せつけられた。
そんな結果でもありました。
総じて、評判通りの良いスピーカーだったことに、間違いありません。

 さて、M55あたりから密閉の流れですが、次回も密閉をじゃんじゃんやってきます。
101号となりますので、
オーディオ メンテナンス SP パート6 になります!お楽しみに♪

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