ヴァリアスクラフトにもようやく登場、YAMAHA NS-1000 MONITOR 通称”センモニ ”。23年間も販売され続けた、まさにスピーカーの大御所的存在。
YAMAHAと言えばNS-10M(テンモ二)も有名で、その独特の音色は印象深いものでした。

 センモニと言えば、ネット上でのレビューがたくさありますが、”低音出ない、中・高音うるさい ”などの不満の声が多い気がします。
だから私も最初からそんな先入観があり、真相はどうなのか?ずっと気になってました。 センモニに関しては、たぶんみなさんの方が詳しいと思いますが、
ここは私なりに感じた事をストレートに書いていきます。気分を害されたらご了承くださいませ。ではさっそく始めましょう。
YAMAHA NS-1000M 1974年〜1997年まで23年間販売される 1台 \108,000(発売当初)
メーカー解説:
方式 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式
使用ユニット ・低域用:30cmコーン型 ・中域用:8.8cmドーム型 ・高域用:3.0cmドーム型
再生周波数帯域 40Hz〜20kHz
インピーダンス
出力音圧 90dB/W/m
クロスオーバー周波数 500Hz、6kHz、12dB/oct
外形寸法 幅375×高さ675×奥行326mm
重量 31kg
ファーストインプレッション(長めです)

まずは一言
「 えっ!?ぜんぜん悪くないですよ、これ。てか、いい音なんですけどっ! 」

高域
 どちらかと言えば硬い部類に入るが、思っていたよりも嫌味なピーク感はない。キラキラと派手さの残る傾向ではあるが、
調整範囲内で十分に収まります。伸びは控えめでレンジは広くないが、繊細な描写力は十分に感じられる。
ユニットそのものの音質とは別に、これはネットワーク調整による、分解能力を高めようとしたセッティング傾向にも感じた。

中域
 硬すぎず柔らかすぎず、極めてナチュラルに近い音質。変な癖やつっぱり感もほとんどなく、TVの声もかなり自然。
アッテネーターにより、やや凹〜凸に変化する調整具合と、完全分離を強く意識してるようなセッティングは、さすがメーカー!と感心させられた。
3wayではあたりまえとさえ感じてしまう浮上感(立体感をさらに強くした感じ)。そのあたりまえな事ができないスピーカーが多い中、これはサラッとこなしてくれた。
浮上感に関して、抜群の洗練さを誇るDENON SC-E757を抜きに出る実力がある。
 セッティングはだいぶ煮詰まってるようっだが、解像度を上げる方向に絞り過ぎか?レンジが犠牲になってる所が短所。
再調整すれば限りなくパーフェクトな中域になる、そんな予感がするほどで、根本的な質感は大変素晴らしいものです。

低域
 まずこの量感で出ないと言われているのか? これに関しては十分なほど”
出ています
確かにバスレフに比べると一歩軽い音ではあるが、30cm級の奥深さは十分にあり、プラス、密閉ならではの高解像度も堪能できる。
これが”本物の低域 ”と言えるほど、良いと感じました。
 密閉はバスレフとは出方が異なるものの、出ないというよりは”
伸びない ”と言ったほうが分かりやすいかもしれない。
バスレフの低域は存在感の強いものだが、30cmクラスともなればブーミーすぎるものもあり、そんな音は中・高域をかき消してしまう場合がある。
そんな余計な音を除外したのが密閉方式で、口径が大きくなればなるほど、密閉の良さも伝わりやすくなる。
このような30cmクラスだからこそ良い面が分かりやすく、素直に伝わってきたのかもしれません。

全体音
 簡単に言うとやや乾き気味、外国製モニターと似たような傾向であり、JBLとは対称的。
密閉の長所がいかんなく発揮されている、かなりの優等生。 ユニットの音質もさることながら、ネットワークでの緻密なセッティングは
静粛性に拍車をかけたのと、乾いた音の相乗効果で、特に解像度は高く感じられました。
 
 はっきり言ってNS-1000M・・・素晴らしいスピーカーです。

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 ある程度エージングした後の結果だが、正直驚きました。妙なイメージがあっただけに、少し拍子抜けしました。
何回も聴いている曲を聴いて、「 こんな微妙な音、入っていたのか? 」と思えるほどの描写力や、バッサリ切られるような鋭いキレは
密閉独特の音で、なんとも言えない安堵感がある。

 この解像度の高さは、まさに”音を確認する ”という意味のもので、抜群の性能を誇るのは間違いない。
だがそれだけに秀でた外国製とは違い、音楽を普通に堪能する事もできる。 世界中で評価され続けたロングセラーも、十分にうなずけます。

 弱点をしいて上げると、全体に”潤い ”が少ない、いわゆる倍音成分が少ない傾向であり、大型のわりにはレンジの狭さも加わり
包み込まれるような”気持ちよさ ”が足りないという面がある。

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 ちなみにアンプはいつもと同様、DENON・ミニコンポ用で、ソースはPC出力(i7 860@ONKYO SE-90PCI)のMP3やWAVを使用。
アンプがミニコン用で駆動力もへったくりも無いと思うが、ウーファーのストロークは十分に確認できました。
高級機器に比べ質が落ちるのは言うまでもありませんが、低音に関してひょっとしたら、数多い3万番台辺りの物とは、少し傾向が違うのかもしれません。
 
 それと、密閉は大小かかわらず”ある程度大音量 ”にして、初めて真価が”発揮 ”できるスピーカーです。
市販スピーカーはその大部分がバスレフですので、密閉の良さを理解するどころか、経験不足という原因もあるでしょう。
 ご近所の事も考えると、大音量では鳴らせない住宅事情も考えられます。 低域に不満があるのなら
トーンコントロールやラウドネスで調整するのも一つの手で、好みになるのなら、それはそれでいいと思います。
このセンモニに関しては、私が聴く限り付属のアッテネーターで十分なほどでした。

 他に勘違いしそうな注意点があり、密閉の低域は小型でも大型でも関係なく、横に広がる傾向です。
バスレフ、特にフロントポートの場合は、いくら無指向性と言えど前後移動が感じやすく、その分よけい体感しやすくなる。
 ツィーターから出る高域は指向性が強い為、密閉でもバスレフでも関係なく前後移動する。
だから密閉の場合、低い音よりも高い音の方が、先に感じてしまうという感覚も強い。
バランスが悪くなればなるほど、突き刺さるとか、うるさい、はたまた低音出ない!という感覚にとらわれやすくなります。
 そこで部屋での置き場所・セッティングもより重要になってきます。 密閉はバスレフに比べ”セッティングがシビア ”ですが、
気持ち良さの根源でもある”反射音 ”を、上手にコントロールするのも、オーディオの醍醐味です。

だらだら書きましたが、まさに「 百聞は一見にしかず 」のような結果でした。

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 さて、センモニとの相性の良いソースだが、能率調整ができるという利点もあり、比較的オールジャンルで鳴らせます。
密閉と言えど、30cmウーファーの奏でる音は存在感があり、特に”音数が少なめのソースやボーカルもの ”では、そのリアリティに度肝を脱がされる事でしょう。
 クラシックの場合は極端で、楽器ソロは得意だがオーケストラでは、乾いた音が全体を薄くしてしまい、場の雰囲気が乏しくなります。

センモニオーナーに一言いわせてください。
 「
センモニは フルオーケストラ を聴くスピーカーではありません

 もしオーケストラがメインなら、他にもよいスピーカーがありますので、変更された方が無難ではないでしょうか。
体感できる気持ち良さは様々ですが、センモニは高解像度タイプであり、気持ちのいい響き・倍音成分は少なめの傾向です。
だからホールの臨場感・空気感など、音楽性豊かな表現が乏しく感じました。JBLのようなライブ感たっぷりの音とは真逆傾向です。

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次は機能について。
 付属のアッテネーターはTWとMIDが独立しており、完全OFF〜+3dBまで可変できます。
TWを-3、MIDを+3にすると、ダイヤトーンのような中域凸の傾向になる。
TWを+3、MIDを-3にすると、中域凹のややドンシャリ傾向になる。
という事からも、変化の度合いがわりと大きめで、各ユニット音の傾向を捉える事が容易でした。
 TW・MIDを同じレベルにすると、絶妙なバランスがとれている事からも、よほどヒヤリングしてセッティングされている感が十分に伝わってきました。
絶妙なバランスは”体にしみ込む水 ”のようでもあり、最も大事な事でもあります。

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 この1000M、ポテンシャルの高さは十分に伝わってきました。 もしさらなる力が出せるのなら、一体どんなスピーカーになってしまうのか?
興味津々であるのと同時に、改造・チューニングはこのHPの醍醐味でもあります。
 そこでここは一つ、「 日本一のセンモニ 」を目指すという設定で、チューニングをおこないます。

改造・チューニングは数多くこなしてきましたが、過去に類を見ないほどの内容です。どうぞご覧ください。
●まずはネットワークを外しじっくり観察。 次にユニットを個別で接続し、音の傾向を探ります。この段階である程度、開発陣の意図も見えてくる。
そんなテストを繰り返す事数日、だいぶ熟知してきたので部品を発注。今回はとにかく部品点数が多いので、悩みに悩みぬきました。

 写真のネットワークだが、背面のターミナルカバーに直付けされており、ネジで簡単に外れます(要配線カット)
全てがこのカバーに集約されている部品達。 まず目に飛び込んできたのが”銀色の大きいコンデンサー ”並列で6発繋がったその形状は、気合と迫力が感じられるほどです。
最初はウーハー用かな?なんて思いましたが、この6発はMID・スコーカ―用でした。 黒いカバー中央部・基盤だが、ここの下にはコイルがあり2段構成になってました。
 写真の上右で一番左のコイルだが、ウーハー用でかなり大きく、これも迫力があります。
度肝を抜かされる程の見た目ですが、構成は以外にシンプルで全て12dB/octでした。

 センモニは所有者も多く有名なスピーカーの一つですが、自作・スピーカー界で有名な長岡鉄男氏。その方がおこなった改造の一つで「 バスレフ化 」があります。
これをやらない手はありません。さっそくネットをググリ、参考にして作ったのが写真のポート。
 板材は21mmのMDF。 それを2枚貼り合わせる設計で、ポートの音道が作られます。 これは本体に穴をあけるのではなく、背面にあるカバーを外し、
そこにネジ留めで取り付けるものです。 本体のダメージはネジ穴のみという最小限でバスレフになる。 この方法はよく考えたものですね。
ネジ留めだけという気軽さがあり、一応元には戻せます。 ただよほど変な音じゃない限り、わざわざ外すのもおっくうになりそう。
 そこで、「
密閉⇔バスレフ 」の切り替えが簡単にできるよう、単純ですがふたを作りました(中央と右写真)。
このふたは、素手での作業が困難なほど、きつめの装着感にしました。 だから上下に出っ張りを設け、そこをハンマーで交互に叩き外します。
閉じるときはまっすぐ押しこみ、最後にハンマーを使い奥まで挿入し、完全な密閉に戻ります。
単純に見栄えを良くするため、突き板を張り塗装しました。 21mm厚のMDFは初めての扱いですが、とにかく分厚くて重かったです。

 ネットワークはノーマル状態でバスレフのテストに入ります。まずはセンモニの性質を知る為、背面カバーを外したのみで視聴してみました。
その結果、「 あれ?そんなに極端には変わらないなぁ 」というのが第一印象。 どうやらギュウギュウに詰まった吸音材が蓋代わりとなっていたようです。
そこで背面の穴から手を入れ、吸音材を少しずらしてみた。
・・・先ほどよりは重い音は出てきたが、重低音の雰囲気は感じられません。このようにカバーを開けた密閉スピーカーは低域はもちろん、中域もドバーっと出てくるのが普通だが
それも無い。もっと内部調整が必要なのか・・・この時点では怒涛の重低音は何処に?と疑問を感じてしまう。
 最後にこのポートを取り付けテストしました。 う〜ん、いかにも的な怒涛ではありませんでした。というか元々ある程度低い音が出てましたからね-。
吸音材を取り除くなどの調整が必要かもしれません。現時点はバスレフ化の有意性、あまり見出せませんでした。
さて、ある程度テストを繰り返した後、本体をバラしていきます。 内部・吸音材は黄色いグラスウールの他に、フェルトまでびっしり貼られているほど徹底したものです。
補強も至る所に施してあり、まさに質実剛健という言葉がぴったりあてはまるほどの箱でした。
 ようやく部品が揃い始めたので、ユニットを個別でチェックします。次にユニットを合わせ、クロス際を入念にチェック、イメージを掴んでいきます。
サラッと書いてますがここだけでも相当な時間がかかりました。
 右下の黒いカバー、部品を全部外しました。 基本的な事ですが、簡単に外す事はできません。 カバーをカットするなど、結構大変でした。
部品が中々外れず、つい壊すくらいの気持ちになりましたが、
このカバーは再利用するので神経を使う作業でした。

 ちなみにネット上で、あるショップ?の記事に「 コイルの方向性を見直しただけで、フルレンジのような音になった 」とありましたので、コイルをチェックしましたが、
方向性?(巻き方・+-の入り口)は全て揃っていました。 というか、それだけで音が変わるはずありませんし、測定器を使っても変化は見られないでしょう。
 その記事は抽象的文章で理解し難く、詳細写真もありませんので説得力もありません。
それこそオーディオは神憑りとか、ブラインドとか言われてしまう原因にもなりかねないので、具体的に書いて欲しいものです。
さて今回交換する部品、まだ全部じゃないがざっと並べてみました。
コンデンサーとコイルは全てJantzenで統一。ケーブルはトリテックの1.5mmをチョイス。青いコンデンサーは黒よりもグレードが高いものでツィーター用。
中々使う機会の無い47uF・容量の大きなコンデンサー。設置には手こずりそうなほど、サイズも大きい。
 ここにある部品、例えば30uFのコンデンサーを交換する場合、そのまま1個の交換ではなく2個及び4個と、偶数の複数で揃えました。それと、
8uF + 22uF などの不揃いではなく、必ず15uF + 15uFというような同数で揃えたのも”こだわり ”です。
実測値を計測しなるべく近づける事も考慮したので、選定には時間がかかりました。
ネットワークは”独立型 ”にし、コンデンサーには厚みのある胴テープを巻きました。お互いのパーツが干渉しにくいよう気を配るのと同時に、見た目の美もこだわりの一つです。
効率・抵抗のロスを最小限にしたいと考え、コンデンサーの足は全て根下でカット。使う配線はなるべく長さを均等に揃え、接続は銀ハンダを使いました。
 パーツをベース(MDF)に固定し、周りをグル―で固めます。銅線や端子など接点は、一切”
空気に触れない ”よう考慮してます。
私が徹底した作り込をおこなうのは音に対するものでもありますが、トラブルがでない事や劣化しにくいという、”
耐久性の向上 ”が一番の目的です。
1台制作するにもかなりの時間がかかっており、見えないだけによけい残念ですが、これだけの事をやった!!という安心感があります。
ネットワークが出来上がったら箱に仮止めし、配線の長さを調正します。 その配線とターミナルを接続。
ターミナルは純銅製という物を、オクで購入しました。 いかにも音が良さそうなルックスですが、ケーブルを通す穴が小さくて残念です(約4mm)。
 中央上、ターミナルが大きいので穴の位置をずらします。 加工したプラ板を接着し再度穴をあけ直す。その上にある穴はトグルスイッチ用で、2個付けます。
ネットワークからの配線を接続しグル―で固めます。 カバー自体も、振動の影響が出にくいよう処理しました。 右下が表。
ようやくネットワークが完成しました!! ですがまだ折り返し地点といったところ。先は長いです。
続いてはユニットのオーバーホールをします。上のツィーターとスコーカ―は分解・清掃しました。ベリリウム振動板を傷つけぬよう気を使います。
その振動板に付いた白い接着材(右上)。 これはエッジを接着するさいにはみ出たものだが、最初カバー越しに見た時、一瞬ベリリウムが欠けているのか!?
と思えるほど驚いたものです。
 下のウーファー。鉄のネットを外し清掃します。ほこりが沢山付着しており、掃除機と筆を用いて丁寧に落とします。
かなり前、一度ウーファーの固着修理をした事があり、その時の印象は薄いエッジでした。
 密閉はバスレフに比べ内圧も強くなるので、エッジはガッチリした物が多い中、30cmでこの薄さは記憶に残っているほどです。
薄さに加えダンプ剤も少ないので、エッジは柔らかさを保っておりますが、スカスカ感もあるので、新たにダンプ剤で補修し直しました。
メーカーの受け売りですが、ダンピングやトランジェントの向上も期待できるでしょう。
比較的新しい方なのか錆もほとんどなく、綺麗な状態を保っておりました。ですが今後の事を考え、マグネット周辺は念入りにコーティング(塗装)しました。
錆止め剤を塗った後、ウレタンクリアー仕上げです。
 振動によるマグネットのズレも考慮し、フレームとマグネットの接続部はエポキシで強化しました。 錆も含め一般的な環境でしたら、10年は余裕のはずです。
下のアッテネーター。これはも分解・清掃しました。これは元々銅板が巻いてあり、指で触れただけで変色・酸化が始まります。
何度触っても問題ないよう、しっかりとコーティングを施し、端子部分や金属部分はなるべく空気と接触しないよう処理しました。 全て高品質を保つ、耐久性の向上の為です。
さてさて、ようやく箱の補修にとりかかります。 傷も少なくわりと良い状態でしたが、大型ゆえん角の欠けが所々に見られます。
上の写真は底面、傷が多いのでここでテストしてから本体にとりかかります。 塗りつぶしで傷を目立たなくする場合、黒は簡単ですが
木目を維持したまま綺麗にみせるには、黒はとても難しいです。 なので底面でテストしました。
 新品なみの外観、新品よりも美しくなるようなイメージでの施工です。 だから全体は再塗装し直した後、磨きをかけました。 before→after
家具屋さんに持ちこんだら、どんだけかかるんだと思われる程、手間をかけた仕上です。
いよいよ終盤、ネットワークを取りつけます。 場所はスコーカ―の後ろ、元々貼り付けてある丸材の上に設置しました。 振動が伝わりにくそうな中々の場所です。
背面カバーには写真のよう、ドーム型の風防(プラ板)を付けます。 この時点ではまだ、角度やサイズを決めかねていました。
 ターミナルカバーの裏、ここはバスレフにしたさい音道(空気の通り道)となる場所で、背圧による負担が一番かかる場所でもあります。
部品が無いだけでも効率が良さそうですが、このようにする事でさらに良くなると思われます。 これを付ける為、カバーには最初から溝を彫っておきました。
MDFで制作したポートを取りつけます。このポートは写真のよう背面板と同サイズで、このまま使うなら問題はないのですが、密閉にする為のふたをする場合
矢印の段差が邪魔になります。段差があるままでも装着できますが、より密着するよう段差を削りました。
削った部分は再塗装します。この段差は個体差なのかな?
最後にユニットを取りつけます。 カバーのドーム部分はこんな感じ。 バックロードの音道にRを付けるのと同じで、空気の流れがスムーズになります。
このドーム、前の写真にもあるよう、あまり高くしてしまうと音道が塞がり気味になってしまいます。だから具合のいい高さにした訳だが、通常ならコンデンサーやらの
部品が付いており、その場合、部品が壁となり効率も落ちそうな感じがしました。
 一般的な丸いポートの場合、吸音材などで塞がれ気味になると、ポート周波数はもちろん音も変わってくるので、わりと重要なポイントだと思います。
最後は吸音材の調整。 ツィーターとスコーカ―の背面・上半分はオリジナルのままで、ウーファー後ろ・ポートへと繋がる部分は、色々と試してみました。
ドームを作り空気の流れが良くなっても、吸音材で塞いでしまっては元も子もありませんからね。
 この吸音材であるグラスウールは、押し潰す事でふんわりがぺちゃんこになります。 写真を見るとかなり減らした?ようにも見えますが、質量はオリジナルのまま。
逆に増やそうと思ったくらいなんです。この工程、低域の具合がけっこう変わりますので、いい塩梅を見つけるには何度もトライするしかありません。
中央下の写真、ユニットとケーブルはオリジナルと同じハンダ付けですが、端子部分は全てブチルゴムで巻いた後、収縮チューブで処理しました。
完成!!! ここまで仕上げた苦労は十分に伝わってる思いますが、私の作品上「 最高傑作 」である事は間違いありません。
さてチューニング後のインプレッションですが、とにかく凄いとだけ言わせてもらい、その他は割愛させて頂きます。

 チューニングメニューは、車で例えるとメカチューンと言ったところで、元のバランスを崩さないよう注意しながら、ポテンシャルを上げてやった
分解能力の高い静粛性が増し、繊細で透き通るような透明感を与え、よりワイドで心地いい臨場感が生まれた。そんな感じです。

 低域は元々十分と感じてましたが、バスレフにするとその独特の低域に変貌し、それはそれで魅力的でもあります。
センモニチューンの要はやはり低域で、他の音をかき消さない・バランスを崩さないよう最終調整をおこないました。
 密閉をバスレフにすると、トーンではコントロールできない領域の音が出ます。
そこを上手くコントロールする為に加えたのが、独自のネットワーク。 切り替えスイッチによるアレンジを可能としました。それが↓これです。
この4種類はすべてウーファーの変化になります。ノーマルとT(チューニング)-1〜3。
密閉にした時の出方、バスレフにした時の出方を最適化でき、好み音へとコントロールできる装置です。
セッティング候補は15種類ほどありましたが、3種類に絞った結果がこれで、完全にヒヤリングのみでおこないました。
 聴感上ですがT-3では2kHくらいまで伸びており、これがフルレンジらしい音だと言えるよう、セッティングしてみました。

最後に。
 今回は大掛かりなチューニングとなりましたが、作家が作品を書ききるのと同じよう、それなりの達成感は味わえました。
ただこれと同じチューニングは、もう2度とやる事はないでしょう。 そういう意味では、”
幻の作品 ”となるかもしれません。
末永く、所有する喜びを与え続けられるよう願います。
何か暗い〆方ですが・・・
 とにかく「 日本一のセンモニ 」と、言いきらせてください^^
次回は初となるトールボーイに着手する予定です。お楽しみに♪

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