今回はONKYO M55、最終チューニングバージョンの紹介です。
M55は数少ない密閉のなかでも、グレードの高い音質を奏でる。
特に密閉ならではの弱点と言える低域は、質・量感ともに不満の無いレベル。
だが中域の響きに違和感を覚えチューニングを始めた訳だが
このM55はツィーターを交換したので、中・高域の解像度はかなり満足できるレベルになった。
そんなスピーカーだが、オーナー様の希望により、更にハイグレード仕様へと変貌を遂げる事となる。
ではその内容をご紹介しましょう。
これはノーマルのネットワーク。古い写真を引っ張りだしたのだが、なんだか懐かしいなぁ。
これは1回目のチューニング。 で2回目のチューニング。
今回はグレードUPチューンの中でも、フルチューンになる。
コンデンサーはすべて交換するので、いったん元の部品を外していく。
こちらは大・中・小のターミナル。
色々と購入して質感をチェックするのだが、これらはどれも中〜上レベル。
3つとも同じ共通ヶ所があるのだが、お気づきだろうか。それはネジ回しが上部で、内部にネジ切りがある事。
本体ごと回すタイプに比べ、ケーブルの噛み具合が解りやすいのと、
Yラグの場合、手前なので装着しやすい。
こういう部分は何気なく触れるものだが、
最終的には使い勝手の良い物が、やはりいい部品という印象も強くなる。
サイズ的にちょうどいいのがこれ。
ノーマルは2mmが限界だが、これは5mmでも余裕。
ネジが長いのでこんな感じになってしまう。
カットしてもいいのだが、あとで処理します。
こういう接触部分も処理を施し、右は2mmのOFCをあてがった。このあとハンダ処理をする。
小さい配慮を積み重ねる事で、最後に音は応えてくれる。だからとても大事な作業である。
コンデンサーはジャンセン。大きいですね〜。
だがコンデンサーを交換する作業の中で、この大きさがネックになる事がほとんど。
右はコイルの影響を受けにくいよう銅泊で巻き、足を処理したもの。
で、完成!!!
ツィーターのコンデンサーはジャンセンを2個使用。
ウーファーはジャンセン1個と手持ちのフィルムを2個使用。合計5個のコンデンサーを使いました。
ウーファー側の15μFは、あえてコンデンサーを2個(12μFと3.3μF)に分割、並列にするとこがミソで、
その他絶縁や、振動対策にもこだわっている。
ケーブルは以前交換したのでそのままだが、ハンダは銀入りで盛り直した。
ネットワークを装着。私特有のチューニングである切り替え式。
簡素だが分かりやすいよう、ロゴを作り貼ってみた。

過去グレードUPチューンは何度もおこなってきたので、変化する用量はなんとなく解っていたのだが、
このM55、予想に反し大きな変貌を遂げる結果となった。
言うまでも無いが、低域はメリハリがつき、中・高域は伸びや透明感が格段にUPした。
とにかく大音量にしても気持ち良く、何時間でも聴いていたくなるような具合である。

M55はアッテネーター付属で、バランスを容易に変えられるわけだが、
そこに2K(ノーマル値)と4Kの切り替え式を加えたので、スピーカーのみで調整できる範囲が大きい。
だからアンプのトーンコントロールは必要なく、ストレートな音源で十分に楽しむ事ができる。
このあたりも音楽を楽しく聴く上での、重要なファクターだと感じている。

最後に。
物作りはなんでもそうだが、とにかく気持ちを込めることで、どんな物でもそれに応えてくれる。
それが使い手に伝われば、最終的に良い品へと変わってくる。
値段じゃみいだせない何かとは心で、最後は喜びに包まれて幸せな気分になれる。
そういうのはやっぱいいもんですよね。
オーナー様を至福の時間で満たされるよう、このM55にはがんばってもらいたいと願います。


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