●今回も久々の登場、世界中のスタジオモニターとして今も尚活躍
している、ヤマハ 10Mスタジオです。10Mシリーズはノーマルの
10Mから10MPRO、MXなどありますが、中でも最高峰が今回
ご紹介するSTUDIOスタジオです。公表されているスペック表が
無いので数値の詳細はわかりませんが、ツィーターやネットワークの
違いで差別化しているようです。そんなスタジオ、今回は新品復活
フルレストアに加え、フルチューンもおこないます。ではご覧ください。
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●程度は中の上くらいでしょうか。優に20年は経ってると思われますが、大事に扱われてきたのが伝わってきます。
●スタジオの場合、このように横置きが標準仕様になってますが、家庭では縦置きで使うのが多いようです。
●さっそくユニットを外しネットワークを取り出しました。写真のようコイルが外れブランブラン状態に。大きいコイルにはありがちの症状です。このまま移動を繰り返すとネットワークがダメになる場合もあります。
●チューンしました。コンデンサーとケーブルの交換。コンデンサーは純正と同じ数値で合わせました。これだけでも能率が変わるくらい効率が上がります。

●さて、10Mシリーズの特徴とも言える白コーンウーハー。経年劣化で黄ばみや汚れが付着してきます。汚れを拭いて表面が傷だらけになったものや、エッジのダンプ剤で染みだらけなんてのもあります。新品に交換したいですが、残念ながら廃盤でもう買えません。なのでできるかぎり綺麗に復活させてやります。まずはホワイトニング、一般的には水性塗料を使う業者がほとんどですが、私は油性で紙に染み込ませるやり方で補修します。できるだけ塗装したくない配慮で、限界まで薄めた染料を使います。0回目と1回目の差。写真だと綺麗に見えますが、実際はもっとムラが出ています。次に2回目をおこない完了。これ以上は音質に影響が出そうなのでこのあたりで留めます。染みこませるやり方なので、紙コーンの元の程度に左右されがちですが、ある程度は綺麗になります。
●右はJBLの2213ウーハーで、未塗装でかなり綺麗な固体ですが、比べると白さがよみがえったのが分かるかと思います。多少ムラは残ってますが自然な白で紙音質も問題ありません。

●次にキャビネット。ツキ板に黒の塗装で仕上げてあるので、傷は黒で塗ればいいと簡単そうに思えますが、逆に難易度の高い箱です。薄い傷なら目立たなくできますが、深い傷が多い場合、完璧に直すなら全体の再塗装が必要で作業も大掛かりになります。今回の個体は薄い傷のみだったので、磨いて消して再コートして仕上げました。だいぶ綺麗になったかと思います。
●ユニット、ネットワーク、キャビネットの仕上げが完了。ウーハーのエッジは柔軟性を上げ、ツィーターはキャップのクリーニングのみの仕上げです。
●この構成だけでも良い音が漂ってきそうですよね。このあと組み込みですが、吸音材のグラスウールが超ちくちくしますw 最後にネットワークを取り付け、ユニット(ハンダ付け)を装着するのですが
●ここで軽い注意点があります。密閉スピーカーの場合、内圧がかかるとウーハーの位置がおかしくなり、まともな音が出ない場合もあります。それを防ぐには内圧がかからないように装着します。10Mの場合ナットで、その隙間から圧が逃げてくれるのであまり気を使う必要はありません。写真のよう一度ユニットをセットし、軽くウーハーコーンを上下させます。その後ウーハーのネジ→ツィーターのネジと言う順番で装着し閉めていきます。もし木ネジのスピーカーでしたら、圧がかからないよう背面のターミナルを外してからユニットを装着したりします。このあたりがいいかげんだと音に表れるので丁寧におこないます。
●そして 祝 完成!
●コンパクトな外装からは想像できなくらい強力なオーラのたたずまいです。
●新品復活フルレストア&フルチューン、いかがでしょうか。
10Mシリーズはツィーター以外、特別変わったようには見えない
外観ですが、ノーマルの10M、PRO、そしてスタジオと聞き比べると
同じ部品を使ってるようにしか見えないのに、あきらかに違う音質に
驚かされるほどです。PRO、スタジオにつれマイルドな音になって
いきます。たしかに10Mだけ聴くとラジカセのような音に感じるかも
しれません。ですが、10の特徴であるモニターの本質はそこではなく、
明瞭なボーカルの中域や、団子にならないナチュラルな解像度にある
と思います。そして完全レストアされた10Mは、きちんとした低域も
しっかり出てくるので、物足りなさはありません。逆にこれに慣れると
他のスピーカーの着色がやぼったくなるかもしれません。
そんな数々の不思議な魅力がつまったスピーカーだからこそ、現在
も愛され続けている理由かもしれません。
 またここにひとつ
  新品復活された10Mスタジオが完成しました!
これからも末永く活躍することを願っております。

次回。ヴァリアスクラフト初となるスピーカーの登場(予定)です。
お楽しみに♪

TOPの一覧から、過去の10MやダイヤトーンA7もご覧ください。
 
YAMAHA NS-10M 1978年〜 1台¥25,000円 (10の仕様表です)
メーカー解説:高性能大型スピーカーの大きさだけを小さくした高性能小型モニタースピーカーを目指して開発されたスピーカー  
方式 2ウェイ・2スピーカー・密閉方式
使用ユニット 高域用:3.5cmドーム型 ・低域用:18cmコーン型
再生周波数帯域 60Hz〜20000Hz
インピーダンス
出力音圧 90dB/W/m
クロスオーバー周波数 2kHz
外形寸法 幅215×高さ382×奥行199mm 約L
重量 6kg(1台)


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