●パイオニアのS-X50。1980年一台\29,800。

メーカー文
共振を抑えたアルミダイキャストフレームを採用。
エンクロージャーは共振を起しにくい特殊樹脂複合材を採用しており、
Qが低く、比重の大きな特殊材のため、共振を抑えて分解能を向上しています。
また、リアルな音像定位を追及し、音源の位置を合わせた設計となっています。
クロスオーバー 2000Hz
外形寸法 幅246×高さ385×奥行233mm
一台 16kg

汚くてボロAの物を3セット入手しました。
写真、結構綺麗に見える?実際はヤバイ。音もビビリ接触が悪いみたい。
とにかく重い!
同サイズのSPの倍はあります。
共振に徹底的にこだわっているスピーカーです。
そういう所大好き!
こんなタイプは無いし、この先もでないでしょう。希少価値があるかな?
かわいそーなんでフルオーバーホールしてやりましょ。
●裏側の四つ角にネジ?
これを外せば背面が外れる?写真だとそう見えるんですよね。
実際見ると外れるわけがありません。エンクは一体形成になってました。
製作する時の位置あわせにでも使われたんでしょうか?
ただの飾りになっています。
●プッシュ式ターミナルです。
3セットある中、これが一番綺麗なほう。
汚れだけならいいけど、錆び浮きまくりの物は大変です。
●清掃完了。
端子部分もすべてバラシテ磨いてやります。
プラ部分はアーマオイル
端子は耐水ペーパーで研磨後、ケイグで仕上げ。
ここが大事なんですよ、スピーカーは。
ビリA音はここの問題でした。
ボイスコイルじゃなくてよかった。(ホッ
●ネットワークです。とりわけ普通の部材。
通電、容量OKでした。
一応劣化してそうな場所に、銀ハンダをあててやります。
●ネット(鉄製)の周りに除光液(シンナー)を流し込み、しばらくしてから外します。
うっ。
ホコリがすごい。コーンも焼けてる。こういうタイプは掃除できないからしょうがないですよね。
エッジは布製ダブルエッジ+ダンプ。
ウレタンじゃなくて良かった。完全に復活できます。
ヤマハの1000Mもやった事ありますが、あれはエッジが薄くて大変でした。
●ユニットを外します。
内部はグラスウールでビッシリ。
ダイアのアコースティックエアーサスペンション、バリに装填されてます。
黒いのは保護のネット。
こういう気配りは良いですね。
●外装。とにかく傷というか、もう削れている。
これ特殊樹脂とありますが
陶器のような強化石膏のような・・・セラミックでも混ざっているんでしょうか。
この重さでこの素材じゃ、引きずって移動させるだけで、
こういうふに傷だらけになってしまうのも解る、がなぜほぼ全面?
塗装は焼きつけですね。
このままじゃ塗料がのらなそう。大変かも。ミッチャクロンでも使いますか。
●ユニットUP。
とりあえず清掃します。
ここで気をつける事は、コーンが紙製なので、濡れ雑巾で強く拭くと、破れる恐れがあります。
ゴシAやりたいのをグッとこらえて。
ホコリを軽く取ってから、半乾きくらいの雑巾で軽くふきます。
例えば紙コーン物のエッジを剥がす時は、シンナーなど使わずに、
そのままゆっくり剥がしたほうが無難です。コーンを痛めません。
エッジにはダンプ剤が塗ってありベトAします。
普通にふいてもホコリやゴミがくっついて綺麗に取れません。
ここは弱めな除光液を使って、ダンプ剤ごと落とします。
●こちらツイーター。
清掃方法は同じ。小さいので綿棒など使います。
●アルミダイキャストフレームとあるので、ポリッシュしてやります。
細い部分なので、写真のようなミニルーターを使います。
あとは、フェルトと青棒。
●右側がポリッシュ後です。
錆が落ち綺麗になりました。
が、錆の根が深いのと、ヘアライン仕上なので、ビッカAにするには
それ相応の覚悟と根気が必要。
表面仕上げをしていない(ヘアライン)物とは、アルミは削りだしで整形していきます。
その削り跡がそのまま残っている状態。
これを鏡面にするには、グラインダーで1mmほど削ってから徐々に仕上げないと無理ですね。
手作業で完璧に平らにする自信がないので、やめておきます。
●こちら別のユニットですが、ポリッシュするとこうなります。
かっこいいでしょ。
ほとんどのフレームは錆が浮いてくるんですよね。
お手持ちのスピーカーも見てみてください。白っぽいもの浮いてません?
ポリッシュした後も大事で、しっかりとコーティングしてやります。
これはもう一年ほど前にポリッシュした物ですが、輝きを維持しています。
車のアルミなんかもポリッシュしてる人いますよね。
大きいので大変ですが。
GT-R(R32)純正アルミのポリッシュなんかカッコよかったなー。
私はポリッシュできるフレームは全てやってしまいます。


←UP
●ここはゴムなのでアーマオールで仕上げます。
右が仕上げ後。
●次にエッジに塗るダンプ剤を作ります。
市販のダンプ剤や液体ゴムでもいいのですが、垂れてきたり、又すぐ汚れが付着してしまいます。
なので、具合のいい物を作ってやります。
材料は、基本のダンプ剤の変りが、硬化剤の入っていない液ゴム。
セメダインスーパーX、シンナーを使います。
エッジの形状により濃度を変えます。
これはダブルエッジなので、薄めで作ります。
●ダブルエッジなので、塗りも薄め。
これで本来の性能を十分に発揮します。
音に関してエッジは大事ですね。ウレタンはウレタン、布は布に換えるのが基本中の基本です。
ゴムエッジは、無い場合どちらでもいいですが、布+ゴムが最良ではないでしょうか。
●最後にコーンを着色して完成。
ダンパー、ボイスコイルの経年劣化があるので100%とは言えませんが、
かなり良い状態にもどります。
エッジをキチンとやる事で本来の性能も出るでしょう。
後はじっくりとエージングして慣らします。
●ツイーターも同じ要領で。
●鉄製のネット、フレーム着色部分も全て再塗装しました。
ネットのゆがみを直すのが少し大変かな。
●ユニットを装着。
ユニットの端子部分も忘れずに磨きます。
エンクロジャーも研磨後、つや消しの黒で再塗装しました。
●ツイーターを装着。
ネットを接着します。
床にしばらく置いておくと、あまりにも重いので、くっついて底面の塗装が少し剥がれてしまった。
この重みや下地の問題、難しい。
●完成!
綺麗になりました。
こういうスピーカー、ここまでやる俺、危篤?(笑

さて音だし確認後、
PDAのシステムエンハンサーCDで、半日ほどエージング、慣らしてやります。

インプレですが、まずリアル、メーカーの説明通り、乾いたリアルサウンドです。
好きですこの音。
最近は艶のある、悪く言うとこもったSPが多い中、こういうサウンドは少ないかと思います。
どちらかというと、モニター的な音ですね。
高域が出しゃばっているのと、響きが無い分、低域の量感が少ない。
だから重心はかなり上よりです。
ただパイオニアらしいと言うか、S-LH5などと同様、メーカー色の強いサウンドが満喫できます。
国産で言うとONKYO製品に近いサウンドですが、やはりパイオニアはパイオニア。

大まかな印象ですが、DENONとは正反対の味付け、ヤマハはもっと高域より。
ダイアは中域重視。ソニーはワイドレンジタイプが多い。
ビクターはDENONに近い感じで中・低域よりだが、それほどこもっていない?
ケンウッドは・・・バラAで説明できない。
といった印象ですかね。
これで低域の量感が増すと、ONKYOのモニター500によく似てきます。
クロスの値が同じという事で、ヤマハのNS-10M、ビクターのSX-3(初期)と比較してみました。
10Mは高域もうるさいが中域も張り出してくる。
音楽を楽しく聴くというのは別にして、このフラット感はさすが、と思う。
SX-3は密閉だが低域の量感は、これよりも断然上。その分ボーカルがモヤッとしている。
S-X50は上記2社の中間的存在。
リアルサウンドはどうしても奥まった印象があるが、これはそれほどでもない。
高域をもっと抑えれば、バランスはかなり改善され、この箱の持ち味も生かせそうな気がします。
低・高域はアンプでなんとかなるが、中域はどうしようもない。
イコライザーで変化できるが、やりすぎるとバランスが悪くなる。
この中域の味付けは各社、色が出る所ですね。

私は2WaySPのクロス1000〜2000辺りがいつも気になる所で、大変勉強になりました。
話が横道にそれてきましたが、一言でいうとリアルモニターサウンドです。
この味付けは中々希少では?と思いました。
DTMでも使えるかもしれません。
パイオニアといえば、中森明菜!(古っ)という事で〆たいと思います。

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