●電源ケーブルの自作にあたり、当初からハイエンド指向を醸し出そうとしていました。
マネ事めいた考えばかりが先行した結果、複雑な構造になっていきましたが、
ここらで原点を見直し、一般機器に装着できるような普通ののコード、
いわゆる2Pの制作をしてみたいと思います。

どれほどの変化があるのかも、また楽しみですね。
●プラグはこれ、防水ゴムプラグを使います。
普通のホームセンターに置いてある、ELPA(朝日電器)製。
3Pはマニア指向が高いので、種類も豊富ですが、
2Pプラグは何でもいいのか?色々と探してみましたが、種類が少ないのが実状です。
ブレードにメッキのかかっていない、タフキャップという物もありましたが、
今回はこの、質実剛健そうなゴムボディの物を使います。
あえてメッキ物を選んだ理由として、ホットとコールドの区別を付けたかった。
それが一番の理由です。
家庭用電気は交流ですので、実際にはどちらでもいいのですが、
コンセント口の穴が大きい方(コールド側)、そこに確実にさせるようにもなります。
松下のWF5018という3Pを2Pにできるプラグもありますが、2Pで使う場合安定性が悪くなりますので、
あえて最初から、2Pの物を使いたいという気持ちもありました。
●バラしました。
青い部分は熱に強い強化ゴムらしい。
ブレードを正面より見ると、少し逆「ハ」の字形に取り付けられており、
抜けにくくなるような工夫かもしれません。
電動工具などの大電流タイプの機器は、感電防止を強める為、
このようなゴムボディのプラグが、よく使われています。
ブレードはニッケルメッキで銀色になります。
●片方のブレードメッキを剥がします。上がメッキを剥がした物。
一見真鍮のような色味ですが、たぶん銅(黄銅)でしょうか?
下がポリッシュした物です。

オヤイデ(ショップ)では、ブラッシュアップ言い、このような磨き込みをおこなってます。
その上から、銀やロジウムのメッキ付けをするのが、一般的ですね。

あとはこの状態のまま、
液体窒素に入れてしまう「クライオ処理」という手法もあります。
冷やせば何かしらの変化がありそうですが、
分子?は常温で、元に戻るような事はないのですかね?

メッキを剥がすだけでも、業者に頼むと高額になり、
さらにロジウムなどのメッキを施してもらうと、さらにお値段がかさんでしまいます。
ある程度の数をやらないと、簡単にはペイできないほどでしょうね。

よく無メッキ(無垢)は、手入れが大変と言いますが、
右の写真のように、鏡面まで磨き込んでやると、
逆に汚れも付きにくく、付いた汚れもサッと落ちるようになります。

ハイエンドケーブルをお持ちなら、ブレードをよく観察してみてください。
無垢の素材は、さほど神経が使われていないとういう、悲しい現実も垣間見ます。
左側が未処理、右側が処理後。
肉眼では見え難いですが、高解像度で写真を撮ると、解りやすくなります。
表面がザラついているのが普通ですが、
ツルツルしていると、何か音も良くなるよう気分になってきますね。
肉眼だと、もっと色差がハッキリしています。
●ケーブル本体には、藤倉のCV-S、5.5を使います。
●被覆を剥きます。
今回は2Pなので、1本カットしました。

どちらかに振り分けも考えましたが、
芯が太すぎて、物理的に装着が困難になるので止めました。
●末端部分を処理します。
ブレードへはネジ止めなので、うまく固定できるよう、
写真のようにU型にしました。
プラグボディがゴムのうえ、ケーブルが太すぎで装着が困難です。
だからスムーズに挿入できるよう、オイルを塗ってみました。
●オイルを塗ったにもかかわらず、
中々奥まで装着できません。

強引にボディをねじこみました。
どうしても入らない場合は、内側を少し削ったり溶かしたりと、
加工が必要になってきます。
芯線をネジ止めします。
ここもクリアランスが無く、大変でした。
●ネジ止めだけでは多少不安ですので、
ネジが回らないようハンダ付けしました。
周りがゴムなので、熱で溶けないよう、
放熱用のクリップを装着してからハンダ付けします。
一応銀ハンダを使用しました。
芯線をを直接ブレードに接触させたかったので、
丸型圧着端子は使いませんでした。
端子を使った方が、固定は確実で作業性もよくなるでしょう。
●本体ボディを元の位置まで戻します。
これもきつくて大変でした。
外装にはカーボンシールドチューブで武装します。
その後、熱収縮チューブで固定します。
チューブの内側は接着してあるのでズレません。
インレット側の処理。
15cmほど剥いて、1本をカット。
●熱収縮チューブで2段処理します。
●これで完成です。
後はこれを、機器のケーブルと交換する作業になります。
交換にはハンダ付けなど、めんどうでもありますが、一般的なケーブル付いているのなら、
一枚ベールがはがれるよう、音質UPは確実でしょう。
特に古い機種で、強力型のトランスが搭載されているアンプなどは、
このようなちょっとした改造でだいぶ変化もみこめますので、おすすめします。

もっと柔らかいケーブルで、富士というメーカー製のVCT5.5というものも試しました。
太いのに柔らかく、取り回しが断然楽なのが魅力的でしたが、
フジクラに比べ音像が甘く、もさっとした印象でした。
RCAではさんざん試しましたが、クリアー質、明瞭感を求めるなら、硬質な芯の方が有効でした。
そんな特徴が、そのまま出ていたようです。

これは音響用として使う為に、考えて作っていますので、
取り回しよりも音質面を重要視しました。
一度設置してしまえば、取り回しもあれもないんですけどね。
細い電源ケーブルを使っている、高級機器もたくさんありますが、
メーカーもそれなりにこだわって作っているだけに、
こういう部分まで目がいかないのか?重要視していないのか?
悲しくもありますが、電源ケーブルの重要性を、見直して欲しいと思います。

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